ウィリアムズ症候群におけるbiological motionのMEGによる検討



中村 みほ1,2)、平井 真洋3,4)、柿木 隆介2)
1. 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
2. 生理学研究所
3. クイーンズ大学心理学部
4. 日本学術振興会海外特別研究員
認知神経科学 Vol.11, No.2, Page144 (2009)

ウィリアムズ症候群(WS)は、その認知能力のばらつきが大きく、また、過度のなれなれしさと表現される社会性の認知面での特徴があることで知られている。今回我々は、WSを持つ成人男性にたいしてbiological motionに対する知覚を脳磁図を用いて検討した。point-light walker(PLW)を用いてヒトの歩行時の光点の動きを呈示し、その脳磁場反応を定型発達成人(TD)のそれと比較検討した。PLWに対して特異的な反応を抽出しうることが確認されている主張を用いたところ、TDコントロール群で認められると同様のPLWに対する反応成分が確認され、その潜時も振幅もTD群のそれの2SD以内となり差を認めなかった。一名のWS患者において、 biological motionの知覚にTDと相違を認めなかった事は、ヒトの社会性の認知を科学的に解明する上で有用な基礎情報の提供になりうると考える。

(2013年1月)



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