ウィリアムズ症候群とダウン症候群における読みの学び:症候群特異的な前触れと発達の軌跡
Learning to read in Williams syndrome and Down syndrome: syndrome-specific precursors and developmental trajectories.
Steele A, Scerif G, Cornish K, Karmiloff-Smith A.
Attention, Brain and Cognitive Development Group, Department of Experimental Psychology, University of Oxford, UK.
J Child Psychol Psychiatry. 2013 Jul;54(7):754-62. doi: 10.1111/jcpp.12070. Epub 2013 May 29.
背景:
典型的な発達においては、初期の読みは文字知識などの教えられたスキルと同様に語彙や音素認知などの言語スキルが支えている。ウィリアムズ症候群やダウン症候群などの言語機能に長所と短所がある特異的なプロフィールをみせる神経発達疾患の子どもにおける初期の読みの発達はほとんど解明されていない。
手法:
初期の読み、文字の知識、韻の合致、音素の合致や受容語彙について、4歳から8歳までの26人のダウン症候群の子どもと26人のウィリアムズ症候群の子ども、正常に発達した子どもで非言語精神年齢(NVMA群)と読みの能力(RA群)を一致させた対照群で評価した。読みの能力はダウン症候群とウィリアムズ症候群およびRA群に対し、発達状況と継時的先行因子を評価することを目的に1年後にも再評価した。
結果:
音素認知と語彙に問題があるにもかかわらず、ダウン症候群の子どもはNVMA対照群に比べて読みと文字知識の成績は良い。ウィリアムズ症候群の成績はすべての課題についてRA対照群とは同等でNVMA対照群より優れていた。読みに関してはダウン症候群とウィリアムズ症候群の両方とのRA対照群に比べて継時的遅滞が表れた。語彙は全グループの子どもに対して読みの発達に関する有意な先行因子であり、RA群を除くダウン症候群とウィリアムズ症候群の両群に対しては文字知識と音素認知は先行因子にはならない。
結論:
ダウン症候群とウィリアムズ症候群の子どもは読みのごく初期の段階においては非典型的な発達パターンをみせ、神経発達疾患における様々な発達レベルを追跡するような症候群横断的で継時的な研究の重要性を示唆している。識字発達の基礎となる症候群特異的な長所短所に関する初期プロフィールを確定させることは治療プログラムの計画には非常に重要である。
(2013年7月)
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