ウィリアムズ症候群における音楽的才能:聴覚認知、音楽技能、音楽に対する感情的反応の間の関連に関する調査



(A)musicality in Williams syndrome: examining relationships among auditory perception, musical skill, and emotional responsiveness to music.

Lense MD, Shivers CM, Dykens EM.
Vanderbilt Kennedy Center, Vanderbilt University Nashville TN, USA ; Psychology and Human Development, Vanderbilt University Nashville, TN, USA.
Front Psychol. 2013 Aug 16;4:525. doi: 10.3389/fpsyg.2013.00525. eCollection 2013.

ウィリアムズ症候群は遺伝子に起因する神経発達疾患であり、聴覚感受性や音楽に対する感情的反応に特徴があるため音楽認知分野の研究者が強い興味を持っている。しかし、実際の音楽の認知や創出能力は非常に変異に富んでいる。我々は失音楽症(amusia)というレンズを通してウィリアムズ症候群の音楽的才能を調査し、彼らの音楽認知能力が聴覚感受性や音楽創出技能や音楽に対する感情的反応とどのような関連があるのかを探索した。我々が調査したウィリアムズ症候群の青年や成人73人の中で、11%が失音楽症の定義に当てはまり、この数値は正常に発達した母集団に関して報告されている4%という発現率に比べて高い。失音楽症は聴覚感受性とは関連しないが、音楽訓練とは相関がある。失音楽症の測定成績は音楽技能の明確な予測値となるが、音楽に対する感情的反応を予測してはいない。音楽に対する感情的反応は全般的な聴覚感受性のほうがすぐれた予測値となる。本研究は幅広い認知能力を有する著名な神経発達遺伝子病を有する集団にたいして失音楽症を調査した初めての研究である。この調査結果から、様々レベルの聴覚認知、音楽技能発達、音楽に対する感情的反応、それぞれの間の関連に関する洞察を得られるとともに、失音楽症を有する、あるいは有していないウィリアムズ症候群や正常に発達した人々について遺伝子−脳−行動の相互関連の理解が得られる。

(2013年8月)



目次に戻る