ウィリアムズ症候群の子供における音色による環境音認識



Environmental sound recognition by timbre in children with Williams syndrome.

Martinez-Castilla P, Garcia-Nogales MA, Campos R, Rodriguez M.
a Department of Developmental and Educational Psychology, Faculty of Psychology, Universidad Nacional de Educacion a Distancia , Madrid , Spain.
Child Neuropsychol. 2014 Jan 16. [Epub ahead of print]

事例報告によればウィリアムズ症候群の子供には音色によって環境音を認識する並外れた能力があるとの記述がある。これはウィリアムズ症候群の子供は音色によって環境音を認識する能力が高度に発達していることを示唆している。さらにハイパーティンブリア(hypertimbria)がこの特徴を示す用語として提案されている。しかし、ウィリアムズ症候群のこの能力を評価する専門的研究は行われていない。そこで本研究はウィリアムズ症候群の子供が音色によって環境音を認識する能力が高度に発達していることを記述した報告と対比することである。環境音認識課題を、ウィリアムズ症候群、暦年齢と認知能力レベルを一致させたダウン症候群の子供、暦年齢を一致させた正常に発達した子供に実施させた。ウィリアムズ症候群の被験者は正常に発達した子供と比べて有意に成績が低く、ウィリアムズ症候群とダウン症候群のグループ間には有意差は見られなかった。これまでの報告とは異なり、本研究によってウィリアムズ症候群の音色による環境音認識能力は、絶対的な意味でも相対的な観点でも表現型的長所を構成していないことを指摘している。この結果はウィリアムズ症候群の子供はハイパーティンブリアでもなく、音色認識の能力が維持されてもいないことを示唆している。認知能力のモジュール性の観点からこの結果が意味するところを検討する。

(2014年1月)



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