ウィリアムズ症候群および22q11.2欠失症候群患者のバイオロジカルモーションおよび顔認知における神経活動
平井 真洋1)、中村 みほ1)、松村 友佳子1)、柿木 隆介2)
1) 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所機能発達学部
2) 自然科学研究所生理学研究所
脳と発達 第44巻 総会号(2013年5月)、390ページ
【目的】
社会認知特性として対極にあるとされるウィリアムズ症候群および22q11.2欠失症候群患者において、社会的刺激であるバイオロジカルモーション(以下、BM)および顔刺激に対する神経活動を脳磁図(MEG)により計測し、両疾患における社会的刺激に対する神経活動について検討する。
【方法】
ウィリアムズ症候患者5名(男性5名)および22q11.2欠失症候群患者(女性1名)および統制群として健常成人14名(男性8名、女性6名)に対し、(1)BM刺激(十数個の光点運動のみから他者の身体運動を知覚可能な現象)と光点の初期位置をランダマイズしたスクランブルモーション(SM)刺激を提示し、BMとスクランブルモーションそれぞれの脳磁図計測、(2)正立、倒立および空間周波数は同一であるが、位相をスクランブルした統制刺激に対する脳磁場計測を行った。
【結果】
BM提示時にみられる、刺激提示後300〜400ミリ秒に計測される成分のピーク振幅と潜時を指標に検討を行った結果、ウィリアムズ症候群患者および22q11.2欠失症候群の患者においてもピーク振幅および潜時がともに統制群の2SD以内であった。更に、顔刺激に選択的にみられる、刺激提示後170〜200ミリ秒後にみられる成分の振幅および潜時についてもウィリアムズ症候群および22q11.2欠失症候群においても健常成人群と比較して2SD以内であった。
【結論】
これらより、今回用いた実験パラダイムにおいて、ウィリアムズ症候群および22q11.2欠失症候群患者においてはBMおよび顔処理については障害を受けない可能性が示唆された。
(2014年1月)
目次に戻る