正常および異常な発達における作画能力:色による手がかりと斜線の効果
Drawing ability in typical and atypical development; colour cues and the effect of oblique lines.
Farran EK(1), Dodd GF.
(1)Department of Psychology and Human Development, Institute of Education, University of London, London, UK.
J Intellect Disabil Res. 2014 Aug 27. doi: 10.1111/jir.12161. [Epub ahead of print]
背景:
ウィリアムズ症候群の患者は作画能力が劣っている。ここに、我々は色が作画課題においての促進手がかりになるかどうかを調査した。
手法:
ウィリアムズ症候群、および非言語的能力を一致させた正常に発達した対照群の被験者に3x3のドットマトリックス上に表現された線図形を提示し、何も書かれていないマトリックス上に図形の模写するように指示した。マトリックス上のドットは黒(統制条件)か9種類の異なる色の点(色条件)のどちらかである。色のついた点を使用した3番目の条件として、被験者は線の模写を始める前に点の色を声に出して言うように求められる(色−言語条件)。
結果:
成績は、ウィリアムズ症候群および対照群ともに、統制条件に比べて2種類の色条件のほうがよかった。しかし、色の促進効果は対照群に比べてウィリアムズ症候群のほうが有意に弱かった。斜線要素の模写は斜線ではない要素の模写に比べて両群とも成功することが少ない。この効果は対照群における色促進でのみ減少していた。色を声に出すことはどちらの群の成績にも追加で影響を及ぼさなかった。
結論:
色は点の個別判別の手がかりとして機能していて、被験者が個々の図形の部分要素間の空間的位置関係を把握すること、線要素の始点と終点を確定すること、モデルと模写の間の対応を把握することに役に立っていると我々は推測する。ウィリアムズ症候群において促進が妨害されていることは斜線と斜線ではない線、異常な作画方法、模写を描いているときのモデルへの注意が散漫になること、などとの関係において議論する。
(2014年8月)
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