聴力が正常な若いウィリアムズ症候群患者のわずかな聴覚機能異常の分析
Analysis of subtle auditory dysfunctions in young normal-hearing subjects affected by Williams syndrome.
Paglialonga A(1), Barozzi S(2), Brambilla D(3), Soi D(2), Cesarani A(2), Spreafico E(3), Tognola G(4).
Author information:
(1)National Research Council of Italy (CNR), Institute of Electronics, Computer and Telecommunication Engineering (IEIIT), Piazza Leonardo da Vinci 32, I-20133 Milano, Italy. Electronic address: alessia.paglialonga@ieiit.cnr.it.
(2)Audiology Unit, Department of Specialistic Surgical Sciences, University of Milan; Fondazione IRCCS Ca' Granda, Ospedale Maggiore Policlinico, via Pace 9, I-20122 Milano, Italy.
(3)Audiology Unit, IRCCS Eugenio Medea, via Don Luigi Monza 20, I-23842 Bosisio Parini, Lecco, Italy.
(4)National Research Council of Italy (CNR), Institute of Electronics, Computer and Telecommunication Engineering (IEIIT), Piazza Leonardo da Vinci 32, I-20133 Milano, Italy.
Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2014 Aug 17. pii: S0165-5876(14)00454-6.
目的:
中耳機能や聴力閾値が正常な若いウィリアムズ症候群患者に臨床的に利用可能な測定器を用いてわずかな聴覚機能異常が検出可能かどうかを調査する。
手法:
耳鏡検査、音響反射、鼓膜聴力検査(tympanometry)、標準純音聴力検査歪成分耳音響放射を用いてウィリアムズ症候群患者13人のグループと、年齢を一致させた正常に発達した対照群13人のグループの計測を行った。被験者は両耳で通常の耳鏡検査、Aタイプの鼓膜聴力検査、通常の音響反射閾値と標準純音閾値(0.5、1.0、2kHzで15dB HL以下)の測定を求められた。歪成分耳音響放射の記録においては中耳の状態の影響を可能な限り取り除くため、0.25-8kHzの範囲の全オクターブ周波数にわたる15dB HL以下の純音閾値で、中耳圧力(MEP)が-50daPa以上、静的コンプライアンス(SC)が0.3〜1.2cm3の範囲、外耳道容積が0.2〜2mlの範囲の耳から得られたデータだけを分析した。また歪成分耳音響放射の中耳の変動要素の効果を取り除くために共分散分析を実施した。
結果:
平均聴力閾値、静的コンプライアンス、外耳道容積、勾配については両グループ間で差は見られなかったが、ウィリアムズ症候群患者において、有意な中耳圧力の低下と中耳の状態の違いを補正した後の3.2kHzまでの歪成分耳音響放射に有意な減少が見られた。
結論:
この結果は聴力閾値(15dB HL以下)と中耳機能(MEPが-50daPa以上、SCが0.3〜1.2cm3の範囲、外耳道容積が0.2〜2mlの範囲)が正常なウィリアムズ症候群患者において臨床的に利用可能な測定器を用いて測定可能なわずかな聴覚機能異常が存在することを明らかにした。全体的にみて、この研究はウィリアムズ症候群患者の定期的聴覚検査を補強する観点で、難聴を発症する前にわずかな聴覚機能異常の兆候を検出して患者を特定し、より良い監視と素早い治療を施すことを目的として、音響放射を用いることの重要性を指摘している。
(2014年9月)
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