9才のウィリアムズ症候群男児における日本語漢字書字の障害



Difficulty in writing Japanese semantic characters in a 9-year-old boy with Williams syndrome.

中村みほ、原 幸一、Watamaki T、 西村辮作、熊谷俊幸、松本昭子、三浦清邦、山中勗、 早川 知恵美、Miyazaki S
愛知県心身障害者コロニー 発達障害研究所
mihon@inst-hsc.pref.aichi.jp
J Intellect Disabil Res 1999 Dec;43 (Pt 6):562-7

ウィリアムズ症候群であると診断された9才の男児について、一連の心理テストを行い言 語と視覚認知能力を調べた。被験者には読んだり認識したりできるのに書けない漢字(日本 語表意文字)がいくつか存在した。漢字を構成する要素は書けるが、それらを正しく配置で きない。この現象は、物体を書き写せないという臨床的観察事実とほぼ同様である。K- ABC(The Kaufmann Assessment Batteries for Children)の結果、この男児はその他の同時 処理成績の平均値に比べて視覚記憶サブテストの成績が悪いことが判明した。この結果は、 物体を書き写すことや漢字を書くことが困難であることに密接に関連している。ITPA (Illinois Test of Psycholinguistic Abilities)によれば、被験者は語彙は比較的優れ ているが、意味的かつ実用的な問題があることを筆者らは発見した。このような患者の能 力の長所短所を明確にすることは、彼らへの適切な教育方針を決定することに役に立つと 思われる。

(2000年1月)

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