ウィリアムズ症候群の子ども:知的能力、語彙能力、適応行動に関する発達の軌跡



Children with Williams syndrome: Developmental trajectories for intellectual abilities, vocabulary abilities, and adaptive behavior.

Mervis CB, Pitts CH.

Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2015 May 18. doi: 10.1002/ajmg.c.31436.

年齢が4歳から15歳である76人のウィリアムズ症候群の子どもの知的能力、一単語語彙能力、適応行動に関する長期縦断的軌跡を調査するために、同じ標準化尺度(standardized measures)でほぼ3年の間隔をおいて彼らの標準スコア(standard scores)を比較した。グループ全体としては12尺度のうち8尺度で有意に平均標準スコアが低下し、4尺度はわずかに(有意ではないレベルで)上昇あるいは低下がみられた。しかし、標準スコアがほとんどの尺度で有意に変化している子どもはほんの一握りしかおらず、そのうちの何人かは有意な低下を示し、さらに少ない人数が有意な上昇を示した。標準スコアの有意な変化はおもに適応行動で顕著である。すべての尺度において、標準スコアの平均変動量は低年齢の子ども(Time1において7歳半以下)より高年齢の子ども(Time1において7歳半以上)のほうが小さい。さらに、Time1とTime2の間における標準スコアの相関は低年齢の同齢集団より高年齢の同齢集団のほうが高く、このことは標準スコアの安定性が低年齢の同齢集団より高年齢の同齢集団のほうが大きいことを示している。平均標準スコアは大部分の尺度において低下していて、ウィリアムズ症候群の子どもをグループとしてみた場合には、通常の母集団に存在すしTime1時点では同じ標準スコアを有する同等の子どもの伸び代と同等の進歩は期待できないが、退行(技能を失う)や停滞(基礎となる得点を上昇させられない)を示す証拠もほとんどない。この結果とウィリアムズ症候群の子どもの小さなサンプルに対して行った先行研究との関連や今回得られた知見が意味するものについて考察する。

(2015年5月)



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