ダウン症候群、脆弱X症候群、プラダー・ウィリー症候群、ウィリアムズ症候群における破壊的行動発達の軌跡



The developmental trajectory of disruptive behavior in Down syndrome, fragile X syndrome, Prader-Willi syndrome and Williams syndrome.

Rice LJ, Gray KM, Howlin P, Taffe J, Tonge BJ, Einfeld SL.
Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2015 May 15. doi: 10.1002/ajmg.c.31442.

本研究の目的は4種類の遺伝子症候群における言語的攻撃性、身体的攻撃性、かんしゃく発作の発達の軌跡を調査することである。被験者はオーストラリア児童成人発達研究(the Australian Child to Adult Development Study (ACAD)の一部であり、18年以上の期間内の5つの時点において知的障害者の同齢集団から情報を集めた。ダウン症候群、脆弱X症候群、プラダー・ウィリー症候群、ウィリアムズ症候群の4種類の症候群のどれかを有する合計248人のデータを検査した。行動の変化は発達行動チェックリスト(the Developmental Behavior Checklist (DBC))で検証された要素を使って測定した。その結果、言語的攻撃性は年齢とともに減少する証拠は観られなかったが、身体的攻撃性とかんしゃく発作はダウン症候群、脆弱X症候群、ウィリアムズ症候群の患者では19歳より前に、プラダー・ウィリー症候群の患者では19歳より後に減少する。この発見は知的障害の患者に対してこれまで示唆された内容より幾分かは楽観的な予後を提示している。プラダー・ウィリー症候群の患者が成人期になるまでかんしゃく発作と身体的攻撃性を持続する素因となるメカニズムを突き止めるためにはさらなる研究が必要である。

(2015年5月)



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