人間は顔をどのように認識しているのか



原文は以下のページに掲載されています。 同様の研究が行われています。資料番号3-9-177も参考にしてください。

(2015年6月)

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柿木隆介
総合研究大学院大学教授 生理科学専攻/自然科学研究機構生理学研究所教授
総研大ジャーナル 16号 2009年 28-33ページ



逆さまの顔と左半球の機能



特異な視空間認知障害を示すことで知 られる疾患に、Williams症候群がある。 この疾患では顔の認知は比較的保たれていると考えられてきたが、本当にそうなのか。私たちは、同症候群の13歳の男児に正立顔と倒立顔を見せて脳磁図を記録してみた。すると、右半球でも倒立顔に対する反応が正立顔よりも短く、倒立顔効果がみられないことがわかった。 Williams症候群では、空間的な配置全体における各構成要素の認知は極めて低いが、各構成要素一つ一つの認知は比較的保たれているとされる。したがって、今回の結果は、顔を全体として認知するよりも顔の部分を認知するほうの反応が早く、その特性が倒立顔の処理においても発現した結果だといえそうだ。





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