ウィリアムズ症候群の顔認識処理は乳幼児期から非典型的なのか
Face processing in Williams syndrome is already atypical in infancy.
D'Souza D(1), Cole V(2), Farran EK(3), Brown JH(4), Humphreys K(5), Howard J(1), Rodic M(6), Dekker TM(7), D'Souza H(6), Karmiloff-Smith A(1).
Author information:
(1)Department of Psychological Sciences, Centre for Brain and Cognitive Development, Birkbeck, University of London , London, UK.
(2)Department of Biostatistics, Institute of Psychiatry, King's College London , London, UK.
(3)Department of Psychology and Human Development, Institute of Education, University College London , London, UK.
(4)Department of Psychology, London South Bank University , London, UK.
(5)Institute of Child Health, University College London , London, UK.
(6)Department of Psychology, Goldsmiths, University of London , London, UK.
(7)Department of Visual Neuroscience, Institute of Ophthalmology, University College London , London, UK.
Front Psychol. 2015 Jun 15;
顔認識処理は決定的な社会認知機能である。この顔認識処理モジュールは後天的発達的に獲得されていくのか、あるいは特定の機能が生得的に備わっているのであろうか? 重度の知的障害であるにもかかわらず無傷の顔認識処理機能を有している患者がもし存在すれば後者の仮説が支持される。何人かの理論家がウィリアムズ症候群患者はこのような証拠を提示していると主張している。つまり、知能指数が50台であるにもかかわらず、ウィリアムズ症候群の成人や青年は標準化顔認識課題で正常範囲の成績を示す。別の研究者はウィリアムズ症候群患者の顔認識処理の成熟の根底には非典型的な神経や認知処理が存在すると主張している。しかし、ウィリアムズ症候群の乳幼児はどうであろうか? 彼らは典型的な顔認識処理能力から始まり後に非典型的な発達を示すのであろうか? それとも、乳幼児期に既に非典型的であるのか?我々は乳幼児向け熟知/新規デザインを用いて、ウィリアムズ症候群の乳幼児を、精神年齢及び歴年齢を一致させた正常に発達した対照群、及びダウン症候群の乳幼児グループと比較した。被験者はまず模式的な顔に慣れ、その後各要素(目の型)を変えるか、元の要素の配置を変えるかした新たな顔を見せられる。配置を変えたケースでは、対照群は正常に処理できたが、ウィリアムズ症候群の乳幼児の場合は要素が変わった場合しか感知できおらず、これは他の神経発達障害の乳幼児とは異なる症候群特有のプロフィールである。この知見によれば、もはや進化が独立した顔認識処理モジュールを有する脳に寄与している事例としてウィリアムズ症候群のケースを引き合いに出せないことを示している。
(2015年7月)
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