ウィリアムズ症候群におけるミラーニューロンシステムの形態的な差異
Morphological differences in the mirror neuron system in Williams Syndrome.
Ng R(1), Brown TT, Erhart M, J?rvinen AM, Korenberg JR, Bellugi U, Halgren E.
Author information:
(1)a Laboratory for Cognitive Neuroscience; Salk Institute for Biological Studies, 10010 N. Torrey Pines Rd., La Jolla , CA , 92037.
Soc Neurosci. 2015 Jul 31. [Epub ahead of print]
ウィリアムズ症候群は他人に対して高度に共感的な関心を示すなど、過度に集合的な性格を特徴とする遺伝子疾患である。自閉症スペクトラム障害のプロフィールとは表面上異なっているように見えるが、両者とも社会的なコミュニケーションや認知機能に障害がある。特に、ミラーニューロンシステムは自閉症スペクトラム障害における社会的機能不全に関連しているが、ウィリアムズ症候群においてはこの神経ネットワークの完全性や社会的機能との関連については未解明である。MRI手法を用いて、ウィリアムズ症候群の成人と正常に発達した個人に対してミラーニューロンシステムの構造的完全性を調査した。通常自閉症スペクトラム障害患者の社会的機能のスクリーニングに用いられる対人応答性尺度(The Social Responsiveness Scale (SRS))を利用してウィリアムズ症候群患者のミラーニューロンシステムの形態と社会的機能の間の関係を評価した。ウィリアムズ症候群の患者は対照群の成人と比べてミラーニューロンシステム基質の皮質表面積は減少していたが、皮質の厚みは比較的維持されていた。頭頂葉下部の皮質厚みが増加していることは、社会的コミュニケーション、社会的自覚、社会的認知、自閉症的な独特の癖などで見られる障害の増加と関係している。しかし、社会的動機づけはミラーニューロンシステムの解剖学的特徴とは関係していない。これらの知見は自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群の両方にみられる典型的な社会的障害が異常なミラーニューロンシステムに起因していることを示す一方で、ウィリアムズ症候群にみられる普通ではない社会的ドライブはこのネットワークとは明確に異なる基質によって機能している。
(2015年8月)
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