ウイリアムズ症候群における聴覚過敏と恐怖・行動障害との関連性について
齊藤景子1)、加藤竹雄1)、粟屋智就1)、平家俊夫1)、富和清隆1,2)、加藤寿宏3)、木村遼4)、萩原正敏4)
京都大学大学院医学研究科発達小児科学 1)
大阪市立総合医療センター小児神経内科 2)
京都大学大学院医学研究科作業療法学 3)
京都大学大学院医学研究科形態形成機構学 4)
日本小児科学雑誌第119巻第2号467ページ 平成27年2月1日
【諸言】
ウイリアムズ症候群は7番染色体長腕の微細欠失症候群(7q11.23)で、7500人に1人の発生頻度の稀な遺伝性疾患である。超社会性など特徴的な発達特性を持つことで知られている。その一方、聴覚過敏や強い不安・恐怖などを持ちやすい傾向にある。今回我々は、WS患者に対して神経心理検査を行ったのでここに報告する。
【対象・方法】
京都大学付属病院、大阪市立総合医療センターに受診した臨床的、遺伝子解析などによりウイリアムズ症候群と診断に至った5歳以上の症例を対象とした、神経心理検査はHyperacusis questionnaire(HQ)、FSSC-R、CBLS/ABCLを患者の両親に記入してもらい、回収したものを解析した。
【結果】
神経心理アンケートは43例(男性17名、女性26名)回収した。HQで聴覚過敏に相当する症例が30.4%であった。今回の症例を「聴覚過敏+」「聴覚過敏−」の2群に分け、FSSC-R、CBLS/ABCLの比較検討を行ったところ、FSSC-Rの総得点、CBLS/ABCLの内向尺度、総合尺度は「聴覚過敏+」群は有意に「聴覚過敏−」群より高い結果であった。
【参考】
今回の研究において、聴覚過敏の強いWS症例では恐怖に感じる場面が多く、また、行動面の問題が多く認められた。「聴覚過敏」が早期より顕在化することを考えると、今後の診療、療育の場面において注目すべき点であることが示唆された。
(2015年10月)
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