古い情報を持ち出し、新しい情報を持ち込む − 後方抑制はドメイン特有プロセスなのか −



Out with the Old and in with the New-Is Backward Inhibition a Domain-Specific Process?

Foti F(1,)(2), Sdoia S(1), Menghini D(3), Vicari S(3), Petrosini L(1,)(2), Ferlazzo F(1).
Author information:
(1)Department of Psychology, University "Sapienza" of Rome, Rome, Italy.
(2)IRCCS Fondazione Santa Lucia, Rome, Italy.
(3)Child Neuropsychiatry Unit, Neuroscience
Department, "Children's Hospital Bambino Ges?", Rome, Rome, Italy.
PLoS One. 2015 Nov 13;10(11):e0142613. doi: 10.1371/journal.pone.0142613. eCollection 2015.

効果的なタスク切替は直前に実行していたタスクを抑制すること、すなわち前回実行していたタスクから受ける可能性のある干渉を適応的に抑制することによって実現しされている。この抑制メカニズムは後方抑制(Backward Inhibition:BI)と呼ばれており、かなり前に実行したタスク(C-B-Aという実行順序)に切り戻す場合よりも、直前に実行したタスク(A-B-Aという実行順序)に切り戻す場合のほうが困難であるという、知見から推測される。後方抑制効果が日常生活における活動のパフォーマンスに影響を与えているにもかかわらず、今のところ後方抑制が非道徳的で材料に依存しないプロセスを説明しているのか、あるいはまたタスク材料との相互作用を説明しているのかは明らかではない。この問題に言及するにあたって、視空間的情報を維持し理解することには困難があるが、言語的情報に対しては障害がないという特徴を有するウィリアムズ症候群の患者グループと、精神年齢と性別を一致させた正常に発達した対照グループに対して、言語的あるいは視空間的材料を処理することが必要な3種類のタスク切替実験を受けてもらった。結果としてウィリアムズ症候群患者は言語的タスク切替においては正常な後方抑制?果を示すが、視空間的タスク切替においては明らかな障害を示した。全体的に、後方抑制が材料依存プロセスであるということを示唆する我々の知見は、認知制御とそのアーキテクチャに関する論理的モデルに関する重要な示唆を含んでいる。

(2015年11月)



目次に戻る