顔の反復探索と社会的興味:成人におけるウィリアムズ症候群の有無と事象関連電位の関連に関する研究



Face repetition detection and social interest: An ERP study in adults with and without Williams syndrome.

Key AP(1,)(2), Dykens EM(1,)(3).
Author information:
(1)a Vanderbilt Kennedy Center for Research on Human Development.
(2)b Department of Hearing and Speech Sciences , Vanderbilt University.
(3)c Department of Psychology and Human Development , Vanderbilt University.
Soc Neurosci. 2015 Dec 15. [Epub ahead of print]

本研究はウィリアムズ症候群患者における亢進した社会的興味の基礎をなす可能性のある神経機構を調べることである。ウィリアムズ症候群患者26人と正常な成人26人に対して、これまで見たことのない社会的(顔)及び非社会的(家)な画像を、反復的および一回のみ提示した場合の偶発的な記憶痕跡を比較するために、受動的観察(passive viewing)中の視覚的事象関連電位を調べた。その結果、ウィリアムズ症候群被験者は反復した顔および家に馴染み関係(前頭のN400反応)を構築したが、正常な成人は反復した顔に対して頭頂の(以前の刺激想起に関連する)新旧効果にのみ現象がみつかった。また、反復した顔と家の記憶に関する事象関連電位カーカーには有意な差が見られないことから、ウィリアムズ症候群の社会的情報に例外的なサリエンス(訳者注:認知において際だって強い入力シグナル) が存在するという確証は得られなかった。このように、ウィリアムズ症候群患者は社会的興味を亢進させるという行動を示すのに対して、得的の指示が存在しない社会的情報の処理は比較的に表層的である。ウィリアムズ症候群における反復する顔探索時の事象関連電位でみられた証拠は、知能指数や社会的対非社会的刺激に対する初期の認知差異とは独立している。ウィリアムズ症候群被験者において事象関連電位に個人差が大きかったことは、基盤となるウィリアムズ症候群の表現型に対して貴重な情報をもたらすとともに、教育や治療目的にも関連する。

(2015年12月)



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