ウィリアムズ症候群に共通する遺伝子多型が健康な成人の扁桃体反応と外向性を予測する
A Common Polymorphism in a Williams Syndrome Gene Predicts Amygdala Reactivity and Extraversion in Healthy Adults.
Swartz JR(1), Waller R(2), Bogdan R(3), Knodt AR(4), Sabhlok A(4), Hyde LW(2), Hariri AR(4).
Author information:
(1)Laboratory of Neurogenetics, Department of Psychology and Neuroscience, Duke University, Durham, North Carolina. Electronic address: Johnna.Swartz@duke.edu.
(2)Department of Psychology, University of Michigan, Ann Arbor, Michigan.
(3)Department of Psychology, Washington University in St. Louis, St. Louis, Missouri. (4)Laboratory of Neurogenetics, Department of Psychology and Neuroscience, Duke University, Durham, North Carolina.
Biol Psychiatry. 2015 Dec 15. pii: S0006-3223(15)01043-4. doi: 10.1016/j.biopsych.2015.12.007. [Epub ahead of print]
背景:
ウィリアムズ症候群は、染色体7q11.23領域の微小半接合欠失を原因とする遺伝子疾患であり、社会情動行動の遺伝子構造を特定するモデルとして取り上げられている。ウィリアムズ症候群の欠失内にあって共通的にみられるGTF2I遺伝子の多型は母集団における社会的不安を軽減することに関係している。これらの多型の影響を受けた神経表現型を特定することによって、この特定の遺伝子の関係性だけではなく、社会情動行動の変異性に関するもっと広範な神経発生的機構に関する我々の理解が進む。
手法:
現在実施中のデューク大学神経発生学研究のサブ研究として、恐怖と怒りの表情に対する脅威関連扁桃体反応を機能MRIを使って測定し、NEO-PI-R人格検査(Revised NEO Personality Inventory)を使って人格特色を評価し、イルミナ社製カスタムアレイを用いて唾液から抽出したDNAからGTF2I rs13227433の帰属を測定した。被験者は、非ラテンアメリカ系以外のコーカサス人、アフリカ系アメリカ人、アジア人を含む808人の大学生である。
結果:
事前に社会的不安が低いことと関連していると判明しているGTF2I rs13227433AA 遺伝子型は脅威関連扁桃体反応が低下することの予測因子であった。外向性の温感局面(warmth facet)に対するGTF2I遺伝子型の間接的な影響は、女性では脅威関連扁桃体反応が低下することで媒介されているが、男性にはみられない。
結論:
社会的不安が低いことと関連しているウィリアムズ症候群に共通するGTF2I遺伝子多型は、脅威関連扁桃体反応の低下の予測因子であり、女性における遺伝子型と温かさ(温感)の関連を媒介する。これらの結果はウィリアムズ症候群における低下した脅威関連扁桃体反応に関連していおり、GTF2Iの共通的多様性が社会情動的脳機能や行動の幅広い多様性に貢献しているとともに、ウィリアムズ症候群における神経発生的基礎の理解と社会的不安を理解するための暗示になっている。
(2016年2月)
目次に戻る