ウィリアムズ症候群の成人におけるインターネット利用とオンライン環境における安全性
Internet use and online safety in adults with Williams syndrome.
Lough E(1), Fisher MH(2).
Author information:
(1)Department of Psychology, Durham University, UK.
(2)Department of Counseling, Educational Psychology and Special Education, Michigan State University, USA.
J Intellect Disabil Res. 2016 May 12.
【背景】
的発達障害者は次第にインターネットにアクセスしはじめている。インターネットへのアクセスは知的発達障害者にとって社会的接触を増やせる一方で、犠牲者になるリスクも増大する可能性がある。よく知っている人とまったく見知らぬ人の両方ともにかかわろうとする極端な向社会的傾向があるウィリアムズ症候群の成人は、とりわけオンライン犠牲者になりやすいと思われる。本研究はまずウィリアムズ症候群患者がインターネットやソーシャルネットワークサイトを利用する理由と頻度を調査する。続いて、ウィリアムズ症候群患者がどれほどオンライン犠牲者になりやすいかを、潜在的に危険なオンライン相互通信を模した仮説的シナリオに対する反応を通じて調査する。
【手法】
若い28人のウィリアムズ症候群の成人(平均年齢27.7歳)とその両親にインターネットやソーシャルネットワークの利用と親の監視に関する質問票に答えてもらった。その後、ウィリアムズ症候群の被験者は、オンライン環境の社会的、および非社会的リスクの取りやすさを評価するための仮説的シナリオに反応してもらった。
【結果】
大部分のウィリアムズ症候群被験者は頻繁にインターネットを利用しており、その過半数が毎日、あるいはほぼ毎日、親の監督や監視無しにソーシャルネットワークサイトを訪れていた。ウィリアムズ症候群患者はソーシャルネットワークサイトを通じてよく知っている人とまったく見知らぬ人の両方と交流した。被験者は、オンラインの場合は本質的に非社会的なリスク行動に比べて社会的リスク行動に関与することを認める傾向が高い。例えば、被験者は、競争に勝つために自分の銀行口座番号情報を提供することより、オンライン上の友人に実際に会うことのほうを認める傾向が高い。
【結論】
現実社会では社会的弱者であるグループに属するウィリアムズ症候群患者は、同様にオンライン環境で犠牲になることにつながる可能性のある行動を示す。インターネット環境へのアクセスがますます容易になることから、ウィリアムズ症候群やその他の知的発達障害者のオンライン環境における安全性を高めるための研究をもっと行う必要がある。合わせて介入や将来の研究に関しても議論する。
(2016年5月)
目次に戻る