ウィリアムズ症候群の青年と成人における知的および適応機能の長期縦断的軌跡
Longitudinal trajectories of intellectual and adaptive functioning in adolescents and adults with Williams syndrome.
Fisher MH(1), Lense MD(2,)(3,)(4), Dykens EM(4,)(5).
Author information:
(1)Department of Counseling, Educational Psychology, and Special Education, Michigan State University, East Lansing, MI, USA.
(2)Marcus Autism Center, Children's Healthcare of Atlanta, Emory University School of Medicine, Atlanta, GA, USA.
(3)Program for Music, Mind and Society, Department of Otolaryngology, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, TN, USA.
(4)Vanderbilt Kennedy Center for Research on Human Development, University Center of Excellence on Developmental Disabilities.
(5)Departments of Psychology and Human Development, Pediatrics, and Psychiatry, Vanderbilt University, Nashville, TN, USA.
J Intellect Disabil Res. 2016 Jun 8. doi: 10.1111/jir.12303.
背景:
ウィリアムズ症候群は軽度から中程度の知的障害、視空間的障害、超社会性、不注意や不安などの特徴的な認知-行動表現型を随伴している。研究者は典型的に知的機能や適応行動を用いてウィリアムズ症候群患者のサンプルを特徴づける。個の症候群は発生頻度が低いために、研究者たちはウィリアムズ症候群の被験者を子どもから大人までの広い年齢層から収集し、その被験者は年齢にかかわらず一定の認知発達を示すという前提を置くことが多い。実際に知能指数の成績はウィリアムズ症候群においては子どもから成人まで一般的には安定しているが、個人間には有意な差異が存在する。この安定的な知能指数パターンが成人期まで持続するかどうかはあまり明らかにされていない。さらに、適応行動は個人の概念的スキルを日常生活の機能に適応するための重要な指標であるにもかかわらず、ウィリアムズ症候群の青年や成人における適応行動の軌跡には矛盾する発見があると報告されている。本研究ではウィリアムズ症候群の青年と成人における認知および適応機能の長期縦断的プロフィールを調査する。
方法:
認知機能を調査するために、52人のウィリアムズ症候群患者からなる被験者集団にカウフマン簡易知能テスト第二版(the Kaufman Brief Intelligence Test, 2nd edition (KBIT-2))を2から7回行ない評価した。初回のテストでは、被験者の平均年齢は25.4歳(標準偏差8.4)、年齢範囲は14.2から48.9歳であった。適応行動を評価するために、ウィリアムズ症候群被験者の一部である28人の親にヴァインランド適応行動尺度第二版(the Vineland Adaptive Behavior Scale, 2nd edition (VABS-II))を2から5回回答してもらった。実施初回においては被験者の年齢は17.1から40.2歳であり、平均年齢は26.5歳(標準偏差7.3)であった。一連のマルチレベルモデルを使用して、KBIT-2複合知能指数や経時的な言語知能指数と非言語知能指数に加えて、複合適応行動と共にコミュニケーション、日常生活技能、社会性というVABS-IIにおけるサブドメインの変化を調べた。
結果:
ウィリアムズ症候群の認知プロフィール通りに知能指数成績は母集団の知能指数成績である100よりも有意に低く、個人の知能指数成績とその傾斜は有意な個人差が認められた。KBIT-2知能指数成績はウィリアムズ症候群の青年と成人においては一般的に安定していた。適応行動成績は母集団の平均点である100よりも有意に低く、個人の適応行動成績には有意な個人差が認められたが、軌跡には差はなかった。しかし、KBIT-2にみられる発見とは対照的に、VABS-IIの成績は時間の経過とともに低下した。
結論:
この発見は、ウィリアムズ症候群の知的機能が安定している一方で、適応機能は青年期から成人期を通じて安定してはいないことを示唆している。発達を通じて認知と適応機能間の関連に関する意味を、ウィリアムズ症候群の表現型の得的の側面に焦点を当てて議論する。
(2016年6月)
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