ウィリアムズ症候群の子どもにおける特定恐怖症に対する予測因子
Predictors of specific phobia in children with Williams syndrome.
Pitts CH(1), Klein-Tasman BP(2), Osborne JW(3), Mervis CB(1).
Author information:
(1)University of Louisville, Psychological and Brain Sciences, Louisville, KY, USA.
(2)University of Wisconsin-Milwaukee, Department of Psychology, Milwaukee, WI, USA.
(3)Clemson University, Mathematical Sciences, Clemson, SC, USA.
J Intellect Disabil Res. 2016 Aug 22. doi: 10.1111/jir.12327. [Epub ahead of print]
背景:特定恐怖症はウィリアムズ症候群の子どもにみられる最も典型的な不安障害であり、発症頻度はアメリカ精神医学会が発行した精神障害の診断と統計マニュアルに基づく診断質問表によれば37%から56%の範囲にある。我々は特定恐怖症と診断されると予想されるウィリアムズ症候群の子どもに対して、性別、年齢、知能指数、行動制御障害(Behaviour regulation difficulties )が発生頻度に対する尤度を評価した。
手法:6歳から17歳のウィリアムズ症候群患者で合計194人に対して評価を行なった。予測因子と特定恐怖症の診断の可能性の相関を最も特徴付ける手法として、我々は一次(線形)効果だけではなく曲線効果も探索した。
結果:性別での差は検出されなかった。年齢が増加するとともに、特定恐怖症の診断を受ける確率は減少する。知能指数が増加してもやはり特定恐怖症の診断を受ける確率は減少する。行動制御障害は陽性診断の最も強い予測因子である。二次相関も検出された。特定恐怖症の診断を受ける確率は行動制御障害が増加するとともに徐々に上昇していく。しかし、ひとたび行動制御障害が臨床レベルに到達すると、 特定恐怖症の診断を受ける確率は最も高いレベルに漸近する。
結論:行動制御障害が臨床レベルにあるかその直前にある子どもは特定恐怖症を発症するリスクが最も高い。これらの知見は、従属変数や可能性のある予測因子の間の相関を特徴づける正確なモデル定義を呈示するためには大規模なサンプルの価値と、非線形効果の評価の重要性に光を当てている。
(2016年8月)
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