正常な発達および非正常な発達における経路探索戦略:視線追跡によってウィリアムズ症候群の異常な地形目印選択が明らかになった
Route-learning strategies in typical and atypical development; eye tracking reveals atypical landmark selection in Williams syndrome.
Farran EK(1), Formby S(2), Daniyal F(3), Holmes T(3), Van Herwegen J(2).
Author information:
(1)Department of Psychology and Human Development, UCL Institute of Education, University College London, UK. E.Farran@ucl.ac.uk.
(2)Department of Psychology, Kingston University London, UK.
(3)Acuity Intelligence, Reading, UK.
J Intellect Disabil Res. 2016 Oct;60(10):933-44. doi: 10.1111/jir.12331.
背景:上手な経路探索は日常生活において決定的な役割をはたす。ウィリアムズ症候群患者は空間能力に障害がある。これにはA地点からB地点への経路を学習するというような空間的経路探索の障害も含まれる。今日までに、被験者が経路を学習する際に目印に注意を向けるかどうかを確認するために、経路の学習を経験したのちに目印想起課題が実施された。ここで我々は仮想現実と視線追跡技術を組合せて用いることで、経路学習に際に正常に発達した子どもとウィリアムズ症候群の被験者の目印の利用を初めて計測した。
手法:ウィリアムズ症候群の患者19人に対して、まばらな環境(目印がほとんど無い)と豊富な環境(目印が多い)において経路を学習するように求め、その間の視線の動きを記録した。目印を見た回数を正常に発達した6歳、8歳、10歳の子どもと比較した。学習過程における目印への注意の切り替えも同じく記録した。
結果:ウィリアムズ症候群全般的に目印を見る回数が少なかったが、全被験者が交差点や迷路内の経路に沿った目印に対して、遠くの目印に比べて長い時間見つめていた。まばらな環境と豊富な環境間における経路学習にはほとんど差異が見られなかった。正常に発達したグループとは対照的に、ウィリアムズ症候群の被験者は交差点や経路上のユニークではない特徴を目印として見ている傾向がある。
考察:この結果は経路学習を行っている際の目印に対する注意が、記憶課題で覚えた目印の種類に反映されていることを示している。つまり、ウィリアムズ症候群患者は事前に十分そこの状況に慣れていれば経路を学習することが可能であるが、同時に適切な目印を選択することに障害があるという文脈においてこれが達成されている。
(2016年10月)
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