ウィリアムズ症候群患者における社会情動的刺激に対する不安症と自律神経反応
Anxiety and autonomic response to social-affective stimuli in individuals with Williams syndrome.
Ng R(1), Bellugi U(2), Jarvinen A(3).
Author information:
(1)Laboratory for Cognitive Neuroscience, The Salk Institute for Biological Studies, La Jolla, CA, USA; University of Minnesota, Twin Cities, Institute of Child Development, Minneapolis, MN, USA.
(2)Laboratory for Cognitive Neuroscience, The Salk Institute for Biological Studies, La Jolla, CA, USA.
(3)Laboratory for Cognitive Neuroscience, The Salk Institute for Biological Studies, La Jolla, CA, USA. Electronic address: pasley@salk.edu.
Res Dev Disabil. 2016 Oct 5;59:387-398. doi: 10.1016/j.ridd.2016.08.017. [Epub ahead of print]
背景:ウィリアムズ症候群は重度の不安症および「超」社会性を有する性格を特徴とする遺伝子疾患である。最近判明したこととして、ウィリアムズ症候群における情動を伴う顔という刺激に対する自律神経反応性に混乱が見られ、これが感情の調節不全や社会的脱抑制に影響している可能性が示唆された。
手法:25人のウィリアムズ症候群患者(19歳〜57歳)と正常に発達した成人(17歳〜43歳)の皮膚電位(EDA)と平均拍動間隔(mean interbeat interval(IBI))を、情動を伴う顔や声の刺激を受動的に提示されている環境下で測定した。社会情動的刺激に対する自律神経反応と不安症の総体症状の関連を調べるためにベック不安質問票(Beck anxiety inventory:BAI)を配布した。
結果:ウィリアムズ症候群グループは不安症の総合的総体症状が対照群より高く、対照群に比べて社会的な視覚刺激や聴覚刺激から「怒り」の感情を認識することが下手である。自律神経反応パターンにはグループ間の相違は現れなかった。特記すべきこととして、ウィリアムズ症候群患者にとっては、不安感の増大が怒りの顔や声に対する覚醒状態の減少と独特の関連を呈した。対照的に、対照群は不安感と社会情動的刺激に対する生理的反応の間に関連はみられなかった。
結論:ウィリアムズ症候群に合併する不安症は、怒りの社会的刺激に対して自律神経の覚醒が減少していることと本質的に関連すると思われる。またこれは特徴的な社会的脱抑制にも関連する可能性がある。
(2016年10月)
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