ウィリアムズ症候群を対象としたヒト神経発生モデル



A human neurodevelopmental model for Williams syndrome.

Chailangkarn T, Trujillo CA, Freitas BC, Hrvoj-Mihic B, Herai RH, Yu DX, Brown TT, Marchetto MC, Bardy C, McHenry L, Stefanacci L, Jarvinen A, Searcy YM, DeWitt M, Wong W, Lai P, Ard MC, Hanson KL, Romero S, Jacobs B, Dale AM, Dai L, Korenberg JR, Gage FH, Bellugi U, Halgren E, Semendeferi K, Muotri AR.
Nature. 2016 Aug 18;536(7616):338-43.

ウィリアムズ症候群は遺伝子に起因する神経発達障害であり、非常に高い社交性や、言語能力や認知能力の山谷が混じりあっていることを特徴とする。ウィリアムズ症候群患者の臨床診断においてはほとんど全員が正確に同じ数の一連の遺伝子を欠失しており、そのブレイクポイントは染色体領域7q11.23に存在する。これら特定の遺伝子が神経解剖学的および機能的変異に与える影響や、それが行動的病態につながる様式はほとんど解明されていない。ウィリアムズ症候群患者および正常に発達した対照群から誘導した誘導多能性幹細胞(iPSC)から派生させた神経前駆細胞と皮質神経を検査した。ウィリアムズ症候群の神経前駆細胞は対照群の神経前駆細胞に比べて、細胞の倍加時間とアポトーシスが増加していた。非典型的なウィリアムズ症候群患者を調べることで、この細胞表現型を一つの遺伝子候補、すなわちFZD9(frizzled 9)遺伝子にまで絞り込んだ。神経段階(neuronal stage)において、ウィリアムズ症候群患者から導出したV層とVI層の皮質神経は樹状突起総量が長く、棘突起やシナプスの数が多く、カルシウム振動が異常で、ネットワーク接続が変化していた。ウィリアムズ症候群の神経にみられる形態測定学的変異は、死後にV層とVI層の皮質神経をゴルジ体染色した後に確認されている。このヒト誘導多能性幹細胞(iPSC)のモデルはウィリアムズ症候群における神経生物学の知識ギャップを埋め、この疾患の原因となる分子機構や人の社会脳に対する手がかりを与えてくれる可能性がある。

(2016年10月)



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