ウィリアムズ症候群の顔に対する反応における正常な視覚探索成績と異常な注視行動
Typical visual search performance and atypical gaze behaviors in response to faces in Williams syndrome.
平井 真洋(1),松村 友佳子(2), 水野 誠司(3),倉橋 直子(3),倉橋 宏和(3),中村 みほ(2)
Author information:
(1)Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 713-8 Kagiya-cho, Kasugai, Aichi 480-0392 Japan ; Present address: Center for Development of Advanced Medical Technology, Jichi Medical University, 3311-1 Yakushiji, Shimotsuke, Tochigi 392-0498 Japan.
(2)Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 713-8 Kagiya-cho, Kasugai, Aichi 480-0392 Japan.
(3)Department of Pediatrics, Central Hospital, Aichi Human Service Center, 713-8 Kagiya-cho, Kasugai, Aichi 480-0392 Japan.
J Neurodev Disord. 2016 Oct 24;8:38. eCollection 2016.
背景:ウィリアムズ症候群患者は顔を見る場合に異常な注意特性を示す事実がわかっている。しかし、顔に注意が向けられたとき、特に顕在的な注意力が存在する場合の動力学は不明なままである。これを明らかにするために、我々は視覚探索パラダイム(visual search paradigm)を導入し、顔に向けられた視覚的注意のがどれほど相対的に強いのか、そして探索を進めることによって顕在的な注意力制御(explicit attentional control )がどのように変わっていくのかを調べた。
手法:被験者(ウィリアムズ症候群および対対照群)は格子の中に入っている妨害物、これには成立した顔が含まれることがある、の中から目標物(蝶)を探すことを求められる。我々は反応時間、最初に注視した場所(これらは初期段階の注意プロフィールを反映している)、注視継続時間を調べた。これらの特徴は視覚探索の後段における注意の側面を代表している。顔に向けられた視覚注意の強さと顕在的な注意力制御(蝶に向けられた)は、最初に顔や蝶を注視した頻度や顔や蝶を注視した時間の長さで特徴づけられる。
結果:顔が提示された場合にすべてのグループで反応時間が長く、探索の初期段階ではどのグループも視覚注意は顔だけに支配されてはいなかったが、顔が提示された場合視覚探索の後期段階でウィリアムズ症候群グループは顔に対する注意が支配していた。さらに、ウィリアムズ症候群グループでは、探索の異なる段階で反応時間が眼球運動計測値と相関がある、すなわち、反応時間が長いことは顔を注視する時間が長いことと、特に探索の初期段階において関連があった。さらに探索の後期段階においても反応時間が長いことは顔を注視する時間が長いことと相関があったが、反応時間が短いことは蝶の注視時間が長いことと相関があった。
結論:ウィリアムズ症候群患者において顔に向けられた注意は比較的強いことは、探索の初期段階には見られないが、探索が進行した段階では支配的になる。さらに、反応行動は眼球運動のある側面と関連があるが、ウィリアムズ症候群患者において異常な注意特徴を探知した場合の眼球運動計測値ほど鋭敏ではない。
(2016年11月)
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