単独巨大小脳症:6症例の記述と文献レビュー
Isolated macrocerebellum: description of six cases and literature review.
D'Arco F(1), Ugga L(2), Caranci F(2), Riccio MP(3), Figliuolo C(4), Mankad K(1), D'Amico A(2).
Author information:
(1)Department of Radiology, Great Ormond Street Hospital for Children NHS Foundation Trust, London, UK.
(2)Department of Advanced Biomedical Sciences, Federico II University of Naples, Naples, Italy.
(3)Department of Mental and Physical Health and Preventive Medicine, Child and Adolescent Psychiatry Division, Second University of Naples, Caserta, Italy.
(4)Section of Pediatrics, Department of Translational Medical Science, University of Naples Federico II, Naples, Italy.
Quant Imaging Med Surg. 2016 Oct;6(5):496-503.
背景:巨大小脳症は形態異常やシグナル異常が無いまま小脳の大きさが単独かつ異常に増大することとして定義されている稀少な状態である。これまで文献で報告されている巨大小脳症の患者はわずか11人である。
手法:2011年12月から2014年3月までの間に我々の診療科で脳のMRI画像を撮影した950人の小児科患者のうち、6例に小脳の異常な肥大の疑いがあった。巨大小脳症の確定診断を行うために全ての患者に対して三次元T1強調像を用いて容量分析を行なった。(I)小脳の容積とテント上構造の容積との比率、(II)小脳の容積と小脳にテント上構造を加えた容積との比率を計算し、得られた絶対容積を正規化したうえで文献で報告されている正常な容量と比較した。
結果と議論:定量分析の結果、文献から得られる正常な対照群と比較して、小脳の容積は、テント上構造の容積に比べて増大していること(t": 6.9518; P<0.001)、小脳にテント上構造を加えた容積に対しても増大していること("t": 7.1415; P<0.001) が判明した。合わせて患者の臨床特徴とその他の神経放射線学的発見を述べる。さらに、単独巨大小脳症と、それ以外で小脳が肥大することを特徴とする、レルミット・デュクロ病、ソトス症候群、コステロ症候群、ウィリアムズ症候群、アレクサンダー病、フコシド症などの病態との差異についても記述する。加えて、詳細な文献レビューも行った。巨大小脳症は常に異常な精神状態や運動発達を伴う。
結論:巨大小脳症は神経放射線学的な症状であり、定性的に特定され、容量分析の結果として定量的に確定される。本論文はこれまでで最大のコホート患者分析である。この疾患に関する本文献から得られるデータによれば、巨大小脳症は特定の病気ではなく、脳の様々な疾患で見られる付帯徴候であることを示している。
(2016年12月)
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