ウィリアムズ症候群の子どもの精神医学的表現型特徴とADHDを有する患者のリタリン治療に対する反応
Phenotypic psychiatric characterization of children with Williams syndrome and response of those with ADHD to methylphenidate treatment.
Green T(1),Avda S,Dotan I,Zarchi O,Basel-Vanagaite L,Zalsman G,Weizman A,Gothelf D
Author information:
(1) Sackler Faculty of Medicine, Tel Aviv University, Tel Aviv, Israel.
Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet. 2012 Jan;159B(1):13-20. doi: 10.1002/ajmg.b.31247. Epub 2011 Nov 3.
ウィリアムズ症候群は認知的障害、特異的な行動表現型、精神医学的疾患の高い発生率などを合併する。本研究の目的は(1)ウィリアムズ症候群の子どもと特発性発達障害の子どもとで、精神医学的疾患や反復行動の発生率を比較する、(2)ウィリアムズ症候群の青年期における精神医学的疾患の変化の長期的評価、(3)ADHDを有するウィリアムズ症候群の子どもに対するリタリン(methylphenidate)治療の効果と安全性に関する遡及的評価を行うことである。この研究は38人のウィリアムズ症候群の子どもと青年(年齢は13.1±5.2歳)からなるコホート集団と年齢(年齢は15.0±3.1歳)を一致させた特発性発達障害の被験者で構成される。現在までの経過観察はウィリアムズ症候群コホートの被験者25人(65.8%)に対して5.6±1.6年間実施した。大部分の精神医学的疾患の発生率はウィリアムズ症候群と特発性発達障害の対照群で同じであった。特異的恐怖症(特に音に対する)、強迫性障害(例:攻撃的強迫観念、繰り返される質問など)や、常同行動(例:ちらりと見ること)は特発性発達障害よりウィリアムズ症候群のほうが多くみられる。ウィリアムズ症候群の子どもに対する長期的経過観察期間中に、不安症の発生率が低下することを発見した。加えて、リタリン治療を受けたADHDを有するウィリアムズ症候群の子どもの72.2%で有意な改善効果があったという報告がある。悲しみ/不幸感がウィリアムズ症候群に対するリタリン治療に合併するもっとも共通する副作用であり、治療を受けた患者の2/3で発生する。本研究はさらにウィリアムズ症候群の神経精神医学的表現型を解明する。我々が得た結果はウィリアムズ症候群におけるADHDに対するリタリン治療の前向き統制研究をさらに行うことを正当化している。
(2017年8月)
目次に戻る