ウィリアムズ症候群と22q11.2欠失症候群の子どもにおける広範な認知社会性プロフィールの比較
Comparing the broad socio-cognitive profile of youth with Williams syndrome and 22q11.2 deletion syndrome.
Weisman O(1)(2), Feldman R(3), Burg-Malki M(1)(4), Keren M(4)(5), Geva R(3), Diesendruck G(3), Gothelf D(1)(2)(4).
Author information:
(1)The Behavioral Neurogenetics Center, The Edmond and Lily Safra Children's Hospital, Sheba Medical Center, Tel Hashomer, Israel.
(2)Sagol School of Neuroscience, Tel Aviv University, Tel Aviv, Israel.
(3)Department of Psychology and Gonda Brain Research Center, Bar-Ilan University, Ramat Gan, Israel.
(4)Sackler School of Medicine, Tel Aviv University, Tel Aviv, Israel.
(5)Child and Adolescent Division, Geha Mental Health Center, Petah Tikva, Israel.
J Intellect Disabil Res. 2017 Oct 8. doi: 10.1111/jir.12424. [Epub ahead of print]
背景:
数多くの研究を通じてウィリアムズ症候群における認知社会性プロフィールの評価が実施され、それとは独立に22q11.2欠失症候群(22q11.2DS)についても同様に行われた。しかし、社会性に障害を有すると言われているこれら2種類の症候群の患者が有するこの能力に関する症候群間比較はまだ行なわれていない。
手法:
4グループで82人の子どもが実験に参加した:ウィリアムズ症候群(n=18)、22q11.2欠失症候群(n=24)、年齢を一致させた特発性発達障害(idiopathic developmental disability、n=20)、正常に発達した対照群(n=20)である。被験者は4種類の認知社会性検査:表情認識、精神状態特質、見かけの感情と実感情の区別、動機と表出行動に基づく特徴推論、を受けた。
結果:
現在得られている知見によれば、ウィリアムズ症候群の子どもは22q11.2欠失症候群の子どもに比べて幸せな表情のラべリング、特に社会的環境で強調された場合には優れている。しかし、誤信念課題ではウィリアムズ症候群と特発性発達障害のグループは特発性発達障害のグループに比べて成績が劣っていた。これはわずかな社会的手がかりに隠された意味の理解に困難がある可能性がある。実際には否定的であり見かけ上は肯定的な感情の差異を見分けるように指示される課題においては、22q11.2欠失症候群は対照群と同等で、ウィリアムズ症候群より優れた成績を示したが、これは彼らが心配性である性格と否定的な意味を持つ手がかりに対して引かれる生まれつきもった傾向に起因する可能性がある。最後に、ウィリアムズ症候群患者は他のグループより物語のキャラクターと友達になりたがる傾向があった。これはそのキャラクターのモチーフが否定的なものであっても変わらないが、これは実生活で遭遇する有害な状況を回避することが困難であることを反映している。
結論:
全体として、我々が実施した多面的認知社会性に関する一連の検査により、症候群に特有だったり、遺伝子疾患間で共通していたり、対照群と比較して3種類の症候群で等しくみられる強みと弱みを明らかにした。我々が得た知見は、年齢や症状に応じた評価方法や、これらの子どもの認知社会性障害を改善する介入プログラムを開発することの必要性を強調している。
(2017年10月)
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