Williams症候群者の言語発達と顔記憶および自閉的傾向との関連
中道 和輝1)、粟屋 智就2)、加藤 竹雄2)、富和 清隆3)、月浦 崇1)
1)京都大学大学院人間・環境学研究科認知・行動科学講座
2)京都大学大学院医学研究科発生発達医学講座発達小児科学
3)京都大学大学院医学研究科発生発達医学講座発達小児科学|東大寺福祉療育病院
Proceedings of the Japanese Society for Cognitive Psychology 2016(0), 3, 2016
Williams症候群(WS)は7番染色体の微細欠失症候群であり、過社交性を示し、顔認知を得意とする一方で、自閉的特徴を示すことが知られている。本研究では、WSの臨床的特徴と顔記憶の関連について検討した。WS者18名(平均25.2歳)、6?7歳の定型発達児(TD)16名(平均6.5歳)が、顔の記憶課題と顔の人物にどの程度近づいて話してみたいかの評定課題に参加した。また、参加者の保護者は、参加者の自閉的特徴を捉えるSRS質問紙に回答した。WS群を言語発達高群と低群に分類し、記憶成績をTD群を含めた3群で比較した結果、TD群とWS高群でのみ、近づきたい、近づきたくないと評定された顔で有意な記憶の促進が認められた。また、SRSの総得点を3群で比較した結果、WS低群はTD群と比較して有意に高い得点を示した。この結果は、WS群における言語発達の程度は、顔記憶と自閉的特徴と関連することを示唆している。
(2018年1月)
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