ウィリアムズ症候群:認知・性格・適応行動



Williams syndrome: Cognition, personality, and adaptive behavior.

Mervis CB, Klein-Tasman BP
Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, Louisville, Kentucky.
Ment Retard Dev Disabil Res Rev 2000;6(2):148-158

ウィリアムズ症候群は7番染色体7q11.23における16個以上の遺伝子の微小欠失に起因す る。この症候群は軽度から中程度の精神遅滞や学習障害を引き起こす。ウィリアムズ症候 群における行動面発現型は独特な認知プロフィールと特異な人格プロフィールである。ウ ィリアムズ症候群の人は全体的な知的レベルに比べて、非常に優れた聴覚暗記記憶 (auditory rote memory)と優れた言語能力を持つ一方で視空間構築能力が著しく劣ってい る。ウィリアムズ症候群の人の性格には、高い社交性、過度のなれなれしさ (overfriendliness)、感情移入、社会的出来事に関連する内在的な不安感が含まれる。ウ ィリアムズ症候群の適応行動(adaptive behavior)プロフィールとしては、適応行動機能の 全体的なレベルに比べて非常に優れた社会的スキル(socialization skills:特に社会的交 わりの開始に関する対人スキル)や優れたコミュニケーション能力を持ち、日常生活スキル や運動能力は明らかに劣っている。ウィリアムズ症候群の行動面発現型の各要素に関する 文献、ウィリアムズ症候群の認知プロフィールや性格プロフィールに対する検査方法 (operationalizations)などを調査した。ウィリアムズ症候群のこれらのプロフィールに関 する感度や特異性を、他の症候群や精神遅滞、あるいは原因不明の病因による境界レベル の知能を持つ人たちと比較した。適応行動プロフィールを認知プロフィールや性格プロフ ィールと比較しながら議論した。ウィリアムズ症候群の遺伝子型/表現型の相関研究にお いて、適応行動の重要な要素に関する検査方法の重要性に重点をおいた。

(2000年7月)



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