どちらかといえば感覚的差異よりも注意の差異がウィリアムズ症候群における聴覚処理を特徴づけている
Attentional rather than sensory differences characterize auditory processing in Williams syndrome.
Jacobs M(1), Dykens EM(2), Key AP(3).
Author information:
(1)Department of Hearing and Speech Sciences, Vanderbilt University Medical Center, United States.
(2)Department of Psychology and Human Development, Vanderbilt University, United States; Vanderbilt Kennedy Center for Research on Human Development, United States.
(3)Department of Hearing and Speech Sciences, Vanderbilt University Medical Center, United States; Vanderbilt Kennedy Center for Research on Human Development, United States. Electronic address: sasha.key@vanderbilt.edu.
Brain Cogn. 2018 Mar;121:24-37. doi: 10.1016/j.bandc.2018.01.005.
ウィリアムズ症候群患者は非定型的な聴覚プロフィールを呈する2種類の実験を通して、ウィリアムズ症候群の成人と、彼らと年齢を一致させた正常な同等者を対象として、大脳皮質の聴覚処理における初期感覚(P1, N1, P2)とそれに続く認知(P3a, P3b)の各ステージを調べるために、3刺激聴覚オッドボール課題における事象関連電位(ERPs)を用いた。研究1では、標準刺激、標的刺激、新奇刺激としてピアノの和音を呈示し、研究2ではピアノ音ではない様々な音で新奇刺激を構成した。両実験を通して、感覚をエンコードする最も初期のステージ (P1, N1)においては両グループ間で差はなかったが、ウィリアムズ症候群被験者のP2反応が非定型的に大きくなっている証拠があった。ウィリアムズ症候群被験者は、新奇刺激が標準刺激や標的刺激と知覚的に異なっている場合(研究2)にはP3a反応が典型的な反応と比較して大きいが、課題に関係する刺激も関係しない刺激も知覚的に同種類である場合(研究1)にはその傾向はみられない。さらに、ウィリアムズ症候群のグループは目標指向注意(goal-directed attention)の減少を呈した(微弱なP3b反応)。これらのグループ間の違いは知能指数への直接の関連はない。これらの結果は、能動的識別課題を考えるうえでは、これまで報告されていた以上にウィリアムズ症候群患者の聴覚処理には刺激の識別と評価の後段ステージにはグループ間の差異が明らかに存在するが、初期の刺激感知と特徴エンコードの段階には差異がないという複雑なプロフィールがあることを示している。
【訳者注】
オッドボール課題: 2 種類の刺激を頻度を変えてランダムに呈示する課題である。多くの場合は 4:1 以上の呈示頻度差をつける。
(2018年1月)
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