ダウン症候群、ウィリアムズ症候群、脆弱X症候群における認知症を示す徴候
Signs indicating dementia in Down, Williams and Fragile X syndromes.
Sauna-Aho O(1)(2), Bjelogrlic-Laakso N(3), Siren A(3)(4), Arvio M(1)(2)(5)(6).
Author information:
(1)KTO-Special Welfare District of Varsinais-Suomi, Paimio, Finland.
(2)Departments of Child Neurology and Public Health, University of Turku, Turku, Finland.
(3)Special Services for Developmentally Disabled, Tampere University Hospital, Tampere, Finland.
(4)Department of Pediatric Neurology, Kanta-Hame Central Hospital, Hameenlinna, Finland.
(5)Department of Neurology, Paijat-Hame Joint Municipal Authority, Lahti, Finland.
(6)PEDEGO, University of Oulu, Oulu, Finland.
Mol Genet Genomic Med. 2018 Jul 3. doi: 10.1002/mgg3.430. [Epub ahead of print]
背景:
知的障害や認知症はそれぞれ発達年代そしてその後におきる大脳皮質機能の障害を反映している。知的障害集団には幅広い多様性があるために、認知機能や適応機能の衰退はそれぞれの遺伝的下位集団の個々で異なっている。
手法:
英国現代版精神状態-学習障害診断(British Present Psychiatric State-learning Disabilitie assessment)質問表を用いて認知症の徴候のスクリーニングを、ダウン症候群((DS, OMIM number 190685)患者62人、ウィリアムズ症候群(WS, OMIM number, 194050)患者22人、脆弱X症候群(FXS, OMIM number 309550)44人に対して実施した(>35歳)。脆弱X症候群の年齢の中央値(59歳)はダウン症候群(50歳)やウィリアムズ症候群(53歳)より高い。
結果:
ダウン症候群(80%)と脆弱X症候群(89%)の被験者患者の大部分は、現在あるいは過去の青年期に中程度から重度の障害があった。一方でウィリアムズ症候群患者(73%)は現在あるいは過去の青年期に軽度から中程度の障害があった。青年期(発症前)における知的障害レベルは認知症スコアには関連がなかった。中央値スコアはダウン症候群、ウィリアムズ症候群、脆弱X症候群の各下位集団においてそれぞれ、11/27、1/27、0/27であった。血管性認知症に併発するアルツハイマー病やもやもや病がダウン症候群に、血管性認知症がウィリアムズ症候群にみられた。
結論:
本研究によれば認知症のリスクは知的障害の原因によって変わり、青年期における知的障害の重症度は後年の認知症発症を予見するものではない。結果として、知的障害と認知症は異なる臨床疾患として理解すべきものであり、知的障害患者の健康管理において考慮すべき項目である。これは適切かつ適時の治療介入の準備にとって重要であり、これにより施設収容が必要になる時期を遅らせることが期待できる
(2018年7月)
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