異なった脳:ウィリアムズ症候群における機能的・構造的結合の異常



A Different Brain: Anomalies of Functional and Structural Connections in Williams Syndrome.

Gagliardi C(1), Arrigoni F(2), Nordio A(2)(3), De Luca A(2)(4), Peruzzo D(2), Decio A(1), Leemans A(4), Borgatti R(1).
Author information:
(1)Neuropsychiatry and Neurorehabilitation Unit, Scientific Institute, IRCCS E. Medea, Bosisio Parini, Italy.
(2)Neuroimaging Lab, Scientific Institute, IRCCS E. Medea, Bosisio Parini, Italy.
(3)Department of Information Engineering, University of Padova, Padova, Italy.
(4)Image Sciences Institute, University Medical Center Utrecht, Utrecht,Netherlands.
Front Neurol. 2018 Sep 13;9:721. doi: 10.3389/fneur.2018.00721. eCollection 2018.

ウィリアムズ症候群の構造・機能間の関連性に関する知識を増やすことを目的として、機能的・構造的な脳の結合分析結果を、10人のウィリアムズ症候群患者からなる同質集団(女性3名、年齢20.7±3.7歳、年齢範囲 17.4-28.7歳)と同じような年齢(女性3名、年齢23.9±4.4歳、年齢範囲 16.8-30.2歳)の18人からなる対照群で比較した結果を紹介する。被験者は脳の3T MRI検査を受けた。これには、解剖学的及び機能的(安静状態)及び構造的(拡散強調MRI)検査が含まれる。我々はウィリアムズ症候群グループにおいて、機能的・構造的結合に収束の異常を発見した。頭頂部-後頭部領域にみられた変化した異方性比率(FA)値は、頭頂部-後頭部領域と前頭部領域をつなぐ前後経路の結合密度が高くなっていることと関連している。安静状態における分析結果からは、主要な脳のネットワーク(初期モード、実行制御と背側注意、感覚運動、前頭部−頭頂部、腹側経路)におけるウィリアムズ症候群グループの機能的結合が変化していることを示している。機能的結合と構造的結合を複合分析した結果、両グループは異なるパターンを示した。対照群において最も高い一致度を示したのは前頭部と視覚野であるのに対し、Williams症候群患者においては、後頭領域(頭頂部-後頭部領域と側頭領域)であった。これらの予備的発見はウィリアムズ症候群における脳の「結線」が変異していることを反映しており、この結果は後頭領域の結合が過剰である一方、前頭領域の結合が障害されていることによってもたらされている可能性がある。これは、ウィリアムズ症候群における異なる脳(組織)が異なる行動(の組織)と関連しているという仮説を支持している。

(2018年10月)



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