ウィリアムズ症候群の成人の認知機能:20年間の経過観察研究
Cognition in adults with Williams syndrome-A 20-year follow-up study.
Sauna-Aho O(1)(2), Bjelogrlic-Laakso N(3), Sir?n A(4), Kangasm?ki V(3), Arvio M(1)(5)(6)(7).
Author information:
(1)KTO-Special Welfare District of Varsinais-Suomi, Paimio, Finland.
(2)Public Health, Turku University Hospital, Clinical Research Centre and University of Turku, Turku University, Turku, Finland.
(3)Special Welfare District of Pirkanmaa, Tampere University Hospital, Tampere, Finland.
(4)Kanta-H?me Central Hospital, H?meenlinna, Finland.
(5)Neurology, P?ij?t-H?me Joint Municipal Authority, Lahti, Finland.
(6)PEDEGO, University of Oulu, Oulu, Finland.
(7)Clinical Genetics, Turku University Hospital, Turku, Finland.
Mol Genet Genomic Med. 2019 Apr 29:e695. doi: 10.1002/mgg3.695. [Epub ahead of print]
背景:
ウィリアムズ症候群は遺伝子起因の多系統疾患である。主要な症状は境界値(知能指数でIQ 70-79)から異常に低い知能(IQ < 70)である。これまでの研究によれば、ウィリアムズ症候群の若い成人患者においては言語性IQ(verbal IQ)は動作性/非言語性IQ(performance/nonverbal IQ)と比較して一般的に若干高いことが認められる。ウィリアムズ症候群は独立した疾患として認められてからすでに60年が経過しているが、ウィリアムズ症候群の成人における認知機能に関してはよくわかっていない。
手法:
遺伝子検査で確定診断されたウィリアムズ症候群の成人25人(調査開始時点の年齢が19歳から68歳、中央値38歳)を20年間経過観察した。研究対象者は医学的・神経心理学的評価を、研究開始時と経過観察終了時に受けた。
結果:
言語性IQの平均値は成人の初期から40歳までは比較的安定しているが、その後低下する。動作性/非言語性IQの平均値は初期から50歳までは向上し続けるが、その後緩やかに低下する。研究終了時点で、全被験者たちは少なくとも2種類の長期的な健康問題を有していた。その健康問題で最も多くみられるものは、高血圧、精神疾患、脊柱側弯症か脊柱後弯症である。研究終了時点で2人の患者が脳血管性認知症を患っていた。7人の患者が経過観察中に死亡した。
結論:
ウィリアムズ症候群の成人においては、認知機能の経過は認知プロフィール全体で不均一である。彼らの言語能力は動作性/非言語性能力に比べて早く向上しかつ劣化する。多発する体性的共存症(somatic co-morbidities)が余命を短くするリスクを増加させる可能性がある。
(2019年5月)
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