ウィリアムズ症候群の幼児における陳述的身振りの発現年齢と表出性語彙が言語に24カ月先行すること及び知的能力
Age at Onset of Declarative Gestures and 24-Month Expressive Vocabulary Predict Later Language and Intellectual Abilities in Young Children With Williams Syndrome.
Becerra AM(1), Mervis CB(1).
Author information:
(1)Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, Louisville, KY, United States.
Front Psychol. 2019 Dec 3;10:2648. doi: 10.3389/fpsyg.2019.02648. eCollection 2019.
背景:母集団内の子どもに関して初期言語獲得を記述した文献に最も共通してみられる事象の一つが、陳述的指差身振りの発現は表出参照言語の発現に先行することです。さらに、陳述的身振りの初期利用頻度は、その後の語彙発達に関して初期の語彙数よりも強力な先行指標であることも示されている。これらの知見は初期の陳述的身振りがその後の言語獲得促進に対する重要な役割を果たしていることを示している。これらの知見の普遍性を評価するために、言語とコミュニケーション身振りが遅滞することが知られている遺伝子疾患のウィリアムズ症候群を検査した。
手法:被験者は47人の標準的なウィリアムズ症候群の欠失サイズを有する子どもである。陳述的身振りや指示が発現した年齢は「マッカーサー・ベイツ コミュニケーション発達質問紙(CDI):単語と身振り」を用いて両親からの報告から確定した。これらの身振りの表出、最初の表出参照言語の表出、24カ月、48カ月のそれぞれの時点での表出語彙量、及び48カ月時点の文法の複雑度は、「CDI:単語と文章」を用いて両親からの報告から確定した。48カ月時点の受容語彙と表出語彙及び総合的知的能力は標準検査を用いて確定した。
結果:母集団内の子どもに関してこれまでに判明している知見とは対照的に、ウィリアムズ症候群の子どものほとんどは陳述的指示の表出より数カ月前に参照言語を表出し始める。一連の退行の存在は、陳述的指示の表出年齢と24カ月時点の表出語彙量が有意に独立に、48カ月時点の語彙・文法・総合的知的能力における個人差に影響していることを示している。定型発達児やその他の発達障害児に対して発見されている知見と同じく、陳述的身振りにおける個人差の測定値は、初期の表出語彙量よりも48カ月時点の語彙能力によるほうがその関連性を強力に説明できる。
考察:前言語的コミュニケーションから初期の参照言語への移行は、陳述的指示の使用能力の発現には依存しない。それにもかかわらず、陳述的指示を表出している期間の長さは、初期の表出語彙に比べて、後の語彙能力に対するより良い先行指標になっている。このように、定型発達にくらべて言語発達の初期経路にばらつきがあるにもかかわらず、ウィリアムズ症候群の子どもの経路は定型発達児やその他の発達障害児の経路に再収束する。
(2019年12月)
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