注意能力が言語発達を制限する:乳児/幼児における症候群間研究



Attentional abilities constrain language development: A cross-syndrome infant/toddler study.

D'Souza D(1)(2), D'Souza H(2)(3), Jones EJH(2), Karmiloff-Smith A(2).
Author information:
(1)Faculty of Science and Engineering, Anglia Ruskin University, Cambridge, UK.
(2)Centre for Brain and Cognitive Development,Birkbeck,University of London,London, UK.
(3)Department of Psychology & Newnham College,University of Cambridge,Cambridge, UK.
Dev Sci. 2020 Mar 10:e12961. doi: 10.1111/desc.12961. [Epub ahead of print]

定型発達をした乳児は、彼らの有する処理機能を視覚的場面内の関連する状況に向けて集中することで部分的に社会的外界に適応する。このため、視覚の指向性(visual orienting)に何らかの障害があると、言語のような分野における学習や発達に制限ができる。しかし、視覚指向性に関して、自閉症のリスクがある乳児に関して少しは知られているが、その他の神経発達疾患を有する乳児/幼児に関してはほとんどわかっていない。その理由の一つは、これまでの研究が年齢が高い子どもを対象にしていることと、暦年齢や精神年齢を一致させた定型発達の対照群の子どもとの比較をほとんど行っていないことにある。視覚指向性が学習や発達に重要な要素だとした場合、発達の初期段階でそれを研究することや、言語のような高次の認知機能と関連があるかどうかを確認することが急務である。ダウン症候群、脆弱X症候群、ウィリアムズ症候群という3種類の神経発達疾患のどれかを有する乳児/幼児と暦年齢や精神年齢を一致させた定型発達の乳児からなる対照群(〜15か月)に対して、視標追跡(eye tracking)技術を用いて、視覚指向性を直接比較調査した。同時にMullen初期学習尺度(Mullen Scales of Early Learning)を用いて言語能力を測定した。別の視覚刺激に注意を異動するために、ある視覚刺激から注意を開放する能力は、所属するグループカテゴリーとは無関係に乳児/幼児の言語能力と関連があることを発見した。さらに、これまでの文献とは反対に、ダウン症候群の乳児/幼児は注意を開放するのが遅い(ウィリアムズ症候群はそうではない)。我々のデータによれば、注意の指向性が、言語発達に制限を加え、ダウン症候群では障害を受けていることを示している。

(2020年3月)



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