単語−対象関連付けの急速な発達と表出語彙との関連:ウィリアムズ症候群を有する/有しない乳児・幼児間の共有性
Development of Rapid Word-Object Associations in Relation to Expressive Vocabulary: Shared Commonalities in Infants and Toddlers with and without Williams Syndrome.
Ha OR(1), Cashon CH(2), Holt NA(2), Mervis CB(2).
Author information:
(1)Department of Psychology, University of Missouri-Kansas City, Kansas City, Missouri, United States.
(2)Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, Louisville, Kentucky, United States.
Dev Sci. 2020 Mar 20:e12966. doi: 10.1111/desc.12966. [Epub ahead of print]
連合単語学習(Associative word learning)、すなわち単語を対象と関連付けること、は定型発達をする乳児の初期の単語学習において重要な構成要素である。本研究は、単語−対象関連付けの発達状況を、定型発達児とウィリアムズ症候群(言語や認知の発達に遅れが伴う遺伝子疾患)の乳児/幼児で調査した。言語発達が遅れる特定の原因は明らかになっていない。我々は、彼らの初期言語獲得の遅れが、初期における単語−対象関連付けの方法の違いに関係しているかどうかを調べた。11歳から14歳の定型発達児59人と、生後12か月から35か月のウィリアムズ症候群の乳児に対して、音素的に異なる単語と新規の対象を用いたswitch課題(Werker, Cohen, Lloyd, Casasola, & Stager, 1998)の改変版を用いて試験を行った。乳児は、彼らの表出語彙(10単語を超えるか、10単語以下)で単語学習者かその初心者に分類される。両集団において同様の発達パターンがあることを発見した。表出語彙数は単語−対象関連付けの発達を示す重要な指標である。さらに単語−対象関連付けの発達は、非依存的(independent:対象を単語とは切り離して処理する)から統合的(integrated:単語と対象の関連を処理する)に領域一般進化(domain-general progression)することを証明している。集団として、単語学習者は単語−対象関連付けを形成している一方で、初心者は形成していないが、彼らは最初に対象に注意を集中する。これまでの研究成果から言えることは、ウィリアムズ症候群の乳児においては初期の言語獲得が遅れるが、ウィリアムズ症候群の有無にかかわらず乳児/幼児は初期の単語学習において共通の発達パターンと一連のメカニズムを共有する。
(2020年4月)
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