行動や運動の障害に関連するウィリアムズ症候群における白質の変異
White matter alterations in Williams syndrome related to behavioral and motor impairments.
Nir A(1), Barak B(1)(2).
Author information:
(1)The Sagol School of Neuroscience, Tel Aviv University, Tel Aviv, Israel.
(2)The School of Psychological Sciences, Tel Aviv University, Tel Aviv, Israel.
Glia. 2020 Jun 26. doi: 10.1002/glia.23868. Online ahead of print.
髄鞘は神経細胞の軸索を覆っている電気絶縁体であり、脳の白質を構成している。髄鞘は跳躍伝導を誘引することで軸索の伝導速度を早める手助けをしている。髄鞘の損傷と白質は多くの神経性疾患や精神疾患と関連している。髄鞘損傷が減少し、その結果として軸索の伝導度が改善することは、これらの疾患の一部の重症度を改善する治療的メカニズムを提供できる可能性を秘めている。髄鞘の損傷は社会的行動の異常と関連するため、脳の神経接続と社会性の相互作用を示唆するとこれまで考えられてきた。本レビューは遺伝子疾患の一種で神経認知面の特徴や運動機能異常があり、さらに超社会的性格が最も有名なウィリアムズ症候群に焦点をあてる。ウィリアムズ症候群における白質の基礎的側面と、その変異が運動能力や社会的行動にどのように影響を与えているかについて議論する。総合的に、ウィリアムズ症候群患者における髄鞘遺伝子の変化と白質構造の変異に関して得られた知見によれば、伝導特質を改善すること、およびこの症候群における脳活動の同調性を変えることを目的とした新たな薬物療法の目標を示唆している。
(2020年7月)
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