IV. ウィリアムズ症候群の神経解剖学:高解像度MRIを使った調査



IV. Neuroanatomy of Williams Syndrome: A High-Resolution MRI Study.

Reiss AL, Eliez S, Schmitt JE, Straus E, Lai Z, Jones W, Bellugi U
Stanford University School of Medicine.
J Cogn Neurosci 2000 Mar;12 Suppl 1(1):65-73

ウィリアムズ症候群は7番染色体長腕の連続部分の欠失を原因とする遺伝子疾患であり、 比較的一様な神経認知面および神経行動面の特徴を併せ持っている。この遺伝子疾患が示 す学習面及び行動面の特徴プロフィールが独特で規則性を持っているのは、基礎をなす神 経生物学的相互作用が同一である可能性を示唆している。この最初の研究では、14人のウ ィリアムズ症候群の青年と条件を合わせた正常な対照群に対して行った高解像度神経イメ ージングの調査結果から導き出された発見を報告する。対照群と比較して、ウィリアムズ 症候群の被験者は、脳全体や大脳の容積が減少していること、小脳及び上側頭回(STG)は比 較的維持されていること、脳幹の容積が不均衡に減少していること、が発見された。また、 脳葉の大きさの比率パターン分析を行ったところ、ウィリアムズ症候群の被験者は正常な 対照群と比較すると、前頭葉が後部頭葉(頭頂葉+後頭葉)に比べて大きいことが判明した。 組織構成を評価した結果、対照群と比較してウィリアムズ症候群の被験者は、脳灰白質容 積が比較的維持され、脳白質容積が不均衡に減少していることが判明した。しかし、脳灰 白質組織要素の中でも右後頭葉は著しく容積が減少していることがわかっている。ウィリ アムズ症候群で共通的に欠失している領域に存在する遺伝子の機能が判明しつつあり、ウ ィリアムズ症候群の脳の構造や機能に関するさらに詳細な情報をこの知識と組み合わせる ことで、ヒトの遺伝子的、神経生物学的、神経行動学的要素間に存在する有意義な関連を 解明するまたとない機会を手に入れることが可能になる。

(2000年9月)



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