出来事と単語を通してウィリアムズ症候群患者における感情的言語を理解する



Understanding emotional language through events and words in people with Williams syndrome.

Hsu CF(1).
Author information:
(1)School of Foreign Languages, Research Center for Language Pathology and Developmental Neurosciences, Hunan University , Changsha, Hunan, China.
Child Neuropsychol. 2020 Jun 24:1-21. doi: 10.1080/09297049.2020.1782369. Online ahead of print.

これまでの研究は主として、顔認識を通してウィリアムズ症候群患者における感情認知を調べてきた。全体関係の統合は自動的かつ基本的な理解能力であり、異なる様式をもとに発揮される。この能力は全体構造と部分要素に対する感覚を必要とする。しかし、神経発達疾患は視空間認知において細部に注目し全体を無視するという特徴がある。このことは、顔認識処理や感情認知などにおいて定型発達した人とは異なった認知機能の原因となる。これらの異常は心の理論や社会的認知の障害として現れる。ウィリアムズ症候群患者は誤信念帰属(false-belief attribution)に障害を呈し、感情を手掛かりとすることでその障害が改善すると報告されている。しかし、すなわち、ウィリアムズ症候群における心の理論の発達に影響を与える要素の一つである感情言語に関する知識を調べる研究はこれまで行われていない。本研究においては、ウィリアムズ症候群における感情言語に関する知識を調べるために、肯定的、否定的、中立的という3種類の感情について検査した。被験者に聴覚的刺激に反応して、感情のラベルが付けられたボタンを押すことを求めた。今回の感情的な出来事に関する研究においては、ウィリアムズ症候群患者は、肯定的出来事においては正常範囲の反応、否定的出来事に対しては遅延した反応、中立的出来事に対しては異常な反応を示した。感情的な単語に関する研究においては、ウィリアムズ症候群患者は、中立的単語に対して正確性が最も低く、反応時間が最も長くかかった。これらの発見は、ウィリアムズ症候群患者における感情的言語に対する知識の非対称性や非典型性を示すとともに、それが感情表現に関する知識が心の理論や社会的認知の発達に影響を与えることを示している。

(2020年7月)



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