無言のジェスチャーの質と視空間機能の関連に対する考察



An investigation into the relationship between Quality of pantomime gestures and visuospatial skills.

Rombouts E(1), Maes B(2), Zink I(1).
Author information:
(1)Department of Neurosciences, Experimental Otorinolaryngology, KU Leuven, Belgium.
(2)Parenting and Special Education Research Group, KU Leuven, Belgium.
Augment Altern Commun. 2020 Oct 12:1-11. doi: 10.1080/07434618.2020.1811760. Online ahead of print.

言語発達障害やウィリアムズ症候群の子どもたちは特定の認知機能やコミュニケーション障害を補うために手振りを用いることがある一方、彼らには認知面で異なった長所‐短所プロフィールがある。彼らの意味能力と視空間機能は図像性(iconicity)に代表されるジェスチャーの質に影響を与えている可能性がある。本研究は、ジェスチャーの質という観点でこれらの機能が及ぼす独特な影響を解明することに焦点を当てる。明示的ジェスチャー誘発課題を、7歳から10歳の言語発達障害者25人、年齢を一致させた定型発達者25人、ウィリアムズ症候群患者14人(8−23歳)に対して実施した。無言動作の図像性、意味の豊富さ、表現技能を記録した。被験者の意味随伴性と視空間機能を定型的に評価した。図像性はウィリアムズ症候群患者が若干低いが、これは彼らの視空間機能の障害と関連があると考えられる。意味のサリエンシー(saliency:訳者注:心理学で認知において際だつ入力シグナル)は被験者グループ間で同様であったが、表現技能において若干の違いがみられた。部分的な相関関係は視空間機能や意味能力が明確な無言動作を創出する機能的手段になっている。この発見は臨床家にとって、患者の自然な図像的ジェスチャー発現を求めることで、患者、特に視空間機能が低い場合に図像性の実現を考えるべきであることを示している。

(2020年10月)



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