V. ウィリアムズ症候群における皮質の多面的神経解剖学分析



V. Multi-Level Analysis of Cortical Neuroanatomy in Williams Syndrome.

Galaburda AM, Bellugi U
Beth Israel Deaconess Medical Center, Boston.
J Cogn Neurosci 2000 Mar;12 Suppl 1(1):74-88

ウィリアムズ症候群における脳の神経解剖学的分析は、本症候群の遺伝学の知識と行動に 関する知識の間に橋をかけることを目的としている。ここで多面的な皮質の神経解剖学的 発見の概略を示す。まず、脳の形状・皮質のしわ・非対称性に焦点を当てて全体的構造を 述べる。これまでに組織解剖と機能の関連について記述された資料から得られる神経解剖 学的知識と同様に、この結果は行動プロフィールともっとも高い関連がある。次に、皮質 の細胞構造所見を述べる。さらに、いくつかの組織の大きさ(histometric)に関する結果に ついても言及する。最後に、染色体欠失につながる可能性が考えられる免疫細胞化学 (immunocytochemistry)上の発見を紹介する。全体的構造としては、後頭部−頭頂部と後頭 部領域に縮退が見られる小さな脳がおもに共通して観察さる特徴である。皮質のしわにも わずかな異形成がみられる。中心溝が短いことが共通しており、大脳縦裂を覆う(become opercularized in the interhemispheric fissure)までには至っていない。これは両半球 の背側半分に異常発達がある可能性を示唆している。側頭平面の非対称性の欠如も存在す る。皮質の細胞構造は比較的正常で、すべてのサンプルが採取された場所の典型的な特徴 を備えている。17野の測定結果からは細胞のサイズが大きく細胞密度が低いことが発見さ れており、接続性に異常がる問題の原因の可能性がある。免疫染色の結果は、エラスチン の欠失を示し、Lim-1キナーゼは正常であった。両方とも欠失部分に含まれる遺伝子から作 り出される。最後に、脳の連続切片試料のひとつから、微小血管に起因する後天的病変が かなりの規模で発見された。これは背景に高血圧や心臓疾患が存在することと関連してい る。

(2000年9月)



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