ウィリアムズ症候群と自閉症スペクトラム障害のこどもの適応機能の比較:症候群横断研究



Comparison of Adaptive Functioning in Children with Williams Beuren Syndrome and Autism Spectrum Disorder: A Cross-Syndrome Study.

Alfieri P(1), Scibelli F(1), Digilio MC(2), Novello RL(1), Caciolo C(1), Valeri G(1), Vicari S(1)(3).
Author information:
(1)Child & Adolescent Psychiatry Unit, Bambino Ges? Children's Hospital, IRCCS, Rome, Italy.
(2)Genetics and Rare Diseases Research Division, Bambino Ges? Children's Hospital, IRCCS, Rome, Italy.
(3)Department of Life Sciences and Public Health, Catholic University, Rome, Italy.
Autism Res. 2020 Dec 11. doi: 10.1002/aur.2455. Online ahead of print.

ウィリアムズ症候群と自閉症スペクトラム障害は長い間「対極をなす」疾患だと考えられてきた。ウィリアムズ症候群の子どもは超社会性を示すように見えるが、最近の研究では共同注意、物を提示したり渡したりすること、社会的関係性に関する理解、言語の実用的な使い方、感情理解などの社会的コミュニケーション機能の分野で課題があることが明らかになっている。本症候群横断研究の目的は、ヴァインランド適応行動尺度-面接版調査用紙を臨床医が記入した報告を用いて、発達範囲に大きな広がりがある2グループの子どもの適応プロフィールを比較することである。ウィリアムズ症候群が40人、自閉症スペクトラム障害が40人の計80人の被験者(31人は未就学児、49人は就学児)は暦年齢と発達や認知レベルを合わせて集められた。ドメインおよび下位ドメインの分析結果が報告された。その結果から、未就学児と就学児の両グループに属するウィリアムズ症候群と自閉症スペクトラム障害のこども間で全般的適応レベルに有意な差は見られなかった。コミュニケーションドメインでは未就学児には有意な差(ウィリアムズ症候群の子どもの方が高い)があるが、就学児には見られない。表出下位ドメインにおいては、未就学児と就学児の両方で有意な差が見られた(ウィリアムズ症候群の子どもの方が高い)。遊戯及び余暇の下位ドメインにおいては就学児のグループでは有意な差があるが、未就学児にはない。我々の得た結果は、ウィリアムズ症候群や自閉症スペクトラム障害のこどもにおける共有全般的適応障害(shared global adaptive impairment)に関する仮説を支持し、さらにこの発見を就学児にまで拡張するものである。ドメインおよび下位ドメインの差異分析の結果、生後1年以降の社会的実用的技能に焦点を当てた治療介入の必要性を浮かび上がらせた。適応プロフィールに関する未就学児と就学児の間の差異は発達という観点で説明が可能である。

レイサマリー:ウィリアムズ症候群と自閉症スペクトラム障害のこどもの適応プロフィールの差異についてはほとんど知られていない。我々が得た結果によれば全般的適応レベルでは類似しているが、コミュニケーションレベルでは違いがある。さらに、表出技能はウィリアムズ症候群のほうが高いように見える。

(2020年12月)



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