ウィリアムズ症候群患者における動的なビートトラッキングの神経生理学的関連
Neurophysiological Correlates of Dynamic Beat Tracking in Individuals With Williams Syndrome.
Kasdan A(1), Gordon RL(2), Lense MD(2).
Author information:
(1)Vanderbilt Brain Institute, Vanderbilt University, Nashville, Tennessee; Curb Center for Art, Enterprise, and Public Policy, Nashville, Tennessee. Electronic address: anna.v.kasdan@vanderbilt.edu.
(2)Vanderbilt Brain Institute, Vanderbilt University, Nashville, Tennessee; Department of Psychology, Vanderbilt University, Nashville, Tennessee; Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, Tennessee; Vanderbilt Kennedy Center, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, Tennessee; Curb Center for Art, Enterprise, and Public Policy, Nashville, Tennessee.
Biol Psychiatry Cogn Neurosci Neuroimaging. 2020 Oct 22:S2451-9022(20)30306-2. doi: 10.1016/j.bpsc.2020.10.003. Online ahead of print.
背景:
ウィリアムズ症候群は神経発達障害であり、超社会性、聴覚過敏の亢進、注意欠陥、音楽的技能とは無関係な音楽に対する強い興味などを特徴とする。行動研究の結果、ウィリアムズ症候群の患者は様々なビートやリズムを認識する能力を示すと報告されている。
手法:
我々は脳波記録計を用いてウィリアムズ症候群患者のビートトラッキングの神経的基盤の研究をめざした。ウィリアムズ症候群の成人27人と年齢を一致させた定型発達の対照群16人に対して、ビートの認識を識別できるように、繰り返しパターンの1番目あるいは2番目の音のどちらかに強拍を置いた音楽的リズムを受動的に聴かせた。
結果:
発生リズムのベータ振動やガンマ振動の成分と一致して、ウィリアムズ症候群患者も定型発達の対照群被験者もビートの発生に呼応してベータ周波数(13-30 Hz)やガンマ周波数(31-55 Hz)の両帯域の神経活動が強く誘発された。この神経応答はウィリアムズ症候群患者のほうが頭皮における分散が幾分大きかった。定型発達の対照群に比べてウィリアムズ症候群患者は誘発電位(P1-N1-P2複合体)の振幅やアルファ活動(8-12 Hz)の誘発の変調が有意により大きく、これは感覚や注意の処理を反映している。ウィリアムズ症候群患者は実験コースを通して神経反応が著しく安定しているとともに、この反応は対照群被験者の反応よりも優位に安定していた。
結論:
これらの結果はウィリアムズ患者における動的なビートトラッキングの神経生理学的証拠を提示し、この患者集団に見られる異常な聴覚表現型や注意困難と整合している。
(2021年1月)
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