ウィリアムズ症候群における局所対全体処理
Local vs global processing in Williams syndrome.
Mattavelli G(1), Costanzo F(2), Menghini D(2), Vicari S(3), Papagno C(4).
Author information:
(1)NETS, Scuola universitaria superiore IUSS, Pavia, Italy.
(2)Child and Adolescent Psychiatry Unit, Department of Neuroscience, Bambino Ges? Children's Hospital, Rome, Italy.
(3)Child and Adolescent Psychiatry Unit, Department of Neuroscience, Bambino Ges? Children's Hospital, Rome, Italy; Catholic University, Rome, Italy.
(4)CIMeC (Centre for Mind/Brain Sciences), University of Trento, Italy; Dipartimento di Psicologia, University of Milano-Bicocca, Italy. Electronic address: costanza.papagno@unitn.it.
Res Dev Disabil. 2021 Feb 28;112:103917. doi: 10.1016/j.ridd.2021.103917. Online ahead of print.
背景:ウィリアムズ症候群において、全体的な形状に関して局所的な処理の選好があるかどうかに関して議論がある。これは、健康な個人に備わり、ウィリアムズ症候群においては顔の認識置いてのみ存在する全体処理の利点の対極をなすものである。
目標:我々の目標は、それを確認することと、同じタイプの課題を用いて顔とそれ以外の物体に対する成績を比較することで、刺激への親和性の役割を評価することである。
手法と手順:ウィリアムズ症候群患者の子どもと青年のグループと定型発達の対照群に対してムーニー(Mooney:顔とギターを用いる)、ジェーン(Jane:顔と家)、ナボン(Navon)という3種類の課題を改変したバージョンを用いた。
成績と結果:ウィリアムズ症候群患者は顔だけではなくその他の物体も全体レベルで処理することは可能だったが、二つの刺激を比較したり区別する必要があるケースでは障害があった。全てのグループが全体処理に優位性があり、親和性はその成績を向上させた。しかし、ウィリアムズ症候群の被験者は定型発達をした若い被験者に比べて親和性から恩恵は受けなかった。
結論と考察:ウィリアムズ症候群に診られる顔刺激に対する特異な能力が現れなかっただけではなく、物体に対する親和性に関する明確な亢進もなかった。これらの結果は効果的な介入を設計するために有用である。
訳者注)
- ナボン課題は、小さなアルファベットで大きなアルファベットを構成する図形を使用する。この階層図形が短時間呈示されるので、参加者は小さいアルファベットあるいは大きなアルファベットが何であったかを判断して、指定されたキーを押して答える。このときの反応時間を測定する課題である。
- Mooney faceというのは、白と黒の二値で描画された輪郭線の曖昧な顔の絵で、光のあたっている部分と陰の部分の形態から立体像が認知することが要求される。
(2021年3月)
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