実行機能に関する行動評価尺度第2版で計測した実行機能:ウィリアムズ症候群の子どもと青年
Executive function as measured by the Behavior Rating Inventory of Executive Function-2: children and adolescents with Williams syndrome.
Greiner de Magalhaes C(1), Pitts CH(1), Mervis CB(1).
Author information:
(1)Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, Louisville, KY, USA.
J Intellect Disabil Res. 2021 Jun 10. doi: 10.1111/jir.12858. Online ahead of print.
背景:実行機能の障害はウィリアムズ症候群患者にごく共通的にみられる。ウィリアムズ症候群の子どもや青年の実行機能が比較的に強い点や弱い点のパターンを特徴づけるために、実行機能に関する行動評価尺度第2版(Behavior Rating Inventory of Executive Function-2;BRIEF-2)の親向け版の大規模サンプルを用いて成績を計測した。実行機能の個別要素と適応行動、行動問題、知的能力の間の関連を調べた。注意欠陥や不安症問題における行動規制や感情規制の同時発生効果も併せて評価した。
手法:被験者はウィリアムズ症候群の典型的な遺伝子欠失を確定された6歳から17歳の患者308人である。BRIEF-2質問表を用いて両親からの報告を計測した。被験者の多く(223/308)は知能を測定するために多面的能力尺度-II((Differential Ability Scales-II)を用いた。子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist)と自立行動評価尺度?改訂版(the Scales of Independent Behavior-Revised)のインタビュー形式も併せて被験者らの両親が記入した。
結果:被験者を集団として見た場合、実行機能に関してかなりの困難を伴うことが両親から報告されていることが明らかになった。比較的強い点や弱い点のプロフィールは指標レベルで見出された。すなわち行動規制指標や感情規制指標の成績は認知抑制指標の成績に比べて有意に良かった。各指標の範囲内では、比較的に強い点や弱い点に統計的に有意なパターンが特定できた。行動規制や感情規制における障害は行動問題や適応行動の制限の両方に関連している。極度に柔軟性が欠けていて自己監視がとても困難であることは全体的知能が低いことと関連している。規制に困難が伴うことは注意の障害だけに関連しており、柔軟性の欠如は不安障害だけに関連している。
結論:実行機能の障害はウィリアムズ症候群の子どもと青年に高頻度でみられ、適応行動の制限、内在化問題行動や外在化問題行動の両方、知能の極度の制限などと関連している。この結果はウィリアムズ症候群の子どもや青年の実行機能の改善を目的とした研究に基づく介入の設計や提供に光をあてる。
(2021年6月)
目次に戻る