中枢神経系オキシトシンシステムの実験的調査の重要性



The Importance of Experimental Investigation of the CNS Oxytocin System.

Boulton KA(1), Guastella AJ(2).
Author information:
(1)Autism Clinic for Translational Research, Brain and Mind Centre, Children's Hospital Westmead Clinical School, Faculty of Medicine and Health, The University of Sydney, Camperdown, NSW, Australia. kelsie.boulton@sydney.edu.au.
(2)Autism Clinic for Translational Research, Brain and Mind Centre, Children's Hospital Westmead Clinical School, Faculty of Medicine and Health, The University of Sydney, Camperdown, NSW, Australia.
Methods Mol Biol. 2022;2384:53-65. doi: 10.1007/978-1-0716-1759-5_4.

本章ではオキシトシン作動システムとその社会的行動に対する役割の概要を述べる。最初に定型発達した人(脳多様性の考えに基づいた健常人)のオキシトシンと社会的行動の関係を検討する。その際オキシトシンの鼻腔内投与による治療の効果に関する研究に焦点を当て、同時に社会的行動に異常がある患者の遺伝子的あるいはエピジェネティックなメカニズムを調査した研究も調べた。自閉症スペクトラム障害やウィリアムズ症候群におけるオキシトシン作動システムの役割に関する仮説の概要を提供する。この2種類の神経発達疾患はオキシトシン作動システムの機能不全によって社会的行動の障害が引き起こされていると考えられている。これらの疾患の社会的表現型が対照的であることから、興味深い比較をもたらし、これによって社会的行動におけるオキシトシン作動システムの役割をよりよく理解できる可能性がある。最後に、今後の研究がどのようにしたらオキシトシンが秘めた可能性を利用できるかについて考える。その際、多くの研究の根底にある測定と投薬の問題に言及するとともに、オキシトシン作動システムに関する我々の理解を深めることにより、どのような人が適切な時点でオキシトシン治療を行うことで恩恵を受けられるかを特定できるようになる。

(2021年10月)



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