ウィリアムズ症候群:不安症における知的能力の役割について
Williams syndrome: on the role of intellectual abilities in anxiety.
Willfors C(1)(2), Riby DM(3), van der Poll M(4), Ekholm K(4)(5), Avdic Bj?rlin H(6), Kleberg JL(#)(4)(6), Nordgren A(#)(4)(5).
Author information:
(1)Rare Diseases Research Group, Department of Molecular Medicine and Surgery, Karolinska Institutet, BioClinicum, J10:20, Visionsgatan 4, 171 64, Stockholm, Sweden. charlotte.willfors@ki.se.
(2)Department of Clinical Genetics, Karolinska University Laboratory, Karolinska University Hospital Solna L5:03,171 64, Stockholm, Sweden. charlotte.willfors@ki.se.
(3)Department of Psychology, Durham University, South Road, Durham, DH1 3LE, UK.
(4)Rare Diseases Research Group, Department of Molecular Medicine and Surgery, Karolinska Institutet, BioClinicum, J10:20, Visionsgatan 4, 171 64, Stockholm, Sweden.
(5)Department of Clinical Genetics, Karolinska University Laboratory, Karolinska University Hospital Solna L5:03, 171 64, Stockholm, Sweden.
(6)Centre for Psychiatry Research, Department of Clinical Neuroscience, Karolinska Institutet, Stockholm Health Care Services, G?vlegatan 22, 113 30, Stockholm, Sweden.
(#)Contributed equally
Orphanet J Rare Dis. 2021 Nov 7;16(1):472. doi: 10.1186/s13023-021-02098-4.
背景:ウィリアムズ症候群の患者は生涯を通じて不安障害になるリスクが高く、このことから不安症につながる個人的要素を特定することは研究の優先度が高い。既報の論文の大部分は質問表のデータに基づいており、実行機能の障害がウィリアムズ症候群の不安症のリスクを高めていることを示唆している。本研究の目的は、訓練を受けた臨床医による直接的な測定を通じて、ウィリアムズ症候群の不安症における全般的知能、抑制、注意の持続、作動記憶を調査することであり、基礎となる機構の存在の可能性をさらに解明することである。
手法:被験者として24人のウィリアムズ症候群患者(平均年齢:29歳、範囲:9〜53歳)が、少なくとも彼らの親の一人と共に本研究に参加した。DSM-5に従った精神疾患簡易構造化面接法(MINI international neuropsychiatric interview)を用いて不安症の臨床診断を確定し、臨床総合印象尺度-重症度(Clinical Global Impression Scale - Severity)を用いて専門家が徴候の重症度の等級付けを行った。知的能力はウェクスラー検査(the Wechsler scales)を用いて検査し、注意と抑制はコナーズ持続的注意集中力検査(the Conner's Continuous Performance Test)を用いて計測した。さらに、実行機能、学習、記憶に関して質問表形式で両親からの報告を集めた。
結果:演繹的な仮説とは対照的に、作動記憶や注意の持続や抑制(ヒトの衝動や行動を抑制するプロセスなど)のような実行機能の主要要素と不安症の間には有意な関連は無かった。順序ロジスティック回帰分析を用いた結果、知能指数の低さと年齢が不安の増大と関連していた。グループ間分析(「不安症あり」対「現在は不安症がない」)を行ってこれらの結果を確認するとともに、低い知能指数が不安症になるリスクが高いことと関連していることも確認した。加えてベイズ統計を用いて不安症と抑制の間には有意な関連がないことを示す実質的な証拠が得られた。
結論:心理学的病状と機能を直接測定することで、現在得られている結果から、ウィリアムズ症候群の表現型の詳細な特徴が明らかにになり、不安症の基盤となるメカニズムの可能性に対する新たな気付きも得られた。
(2021年11月)
目次に戻る