ウィリアムズ症候群の視空間認知とパフォーマンス
根津 知佳子*)・吉澤 一弥*)・和田 直人*)・角藤 比呂志**)
*日本女子大家政学部児童学科
**東洋英和女学院大学人間科学部人間科学科
日本芸術療法学会誌 Vol.51、No.2、2020、P44〜53
ウィリアムズ症候群は第7染色体のq11.23領域の微小欠失を原因とする遺伝子疾患である。2015年に指定難病179として告示され、発症率は1/10,000〜20,000人とされる。
本研究の目的は本症候群に伴う視空間認知の実態を理解すること、そして具体的な治療モデルを検討することである。この目的のために、以下の心理検査を実施した:(1)ベンダー・ゲシュタルト・テスト、(2)ロールシャッハ・テスト、(3)風景構成法、投影法心理検査による表現の解釈と見立て、芸術とデザイン科学を実施した。(1)においては、共通特性としてゲシュタルトとしての全般的情報処理の困難さが示された。(2)においては、反応領域の知覚において、全体領域ではなく部分領域の認知と結合性のなさ、決定因においては形態(F)有意であるという共通特性が明らかになった。(3)においては、被験者の絵や図形の表現から、統合性の欠如と奥行き知覚の困難が示唆された。
これらの結果に基づき、Boxill理論(Boxill,E.H.'s theory(1985))の「覚識の連続体」を検討すると共に、音楽療法による支援の可能性を検証した。
(2022年4月)
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