ウィリアムズ症候群患者の基本的感情の知識に関する研究
Investigating basic emotion knowledge of people with Williams syndrome.
Hsu CF(1), Lv P(2).
Author information:
(1)School of Foreign Languages, Hunan University, Lushan Road (S), Yuelu District, Changsha 410082, Hunan Province, China; Research Center for Language Pathology and Developmental Neurosciences Hunan University, Lushan Road (S), Yuelu District, Changsha 410082, Hunan Province, China. Electronic address: chinghsu@hnu.edu.cn.
(2)School of Foreign Languages, Hunan University, Lushan Road (S), Yuelu District, Changsha 410082, Hunan Province, China; Research Center for Language Pathology and Developmental Neurosciences Hunan University, Lushan Road (S), Yuelu District, Changsha 410082, Hunan Province, China.
Res Dev Disabil. 2022 Oct;129:104308. doi: 10.1016/j.ridd.2022.104308. Epub 2022 Aug 19.
背景:他者の心理を行動から想像や理解する際に感情認知は重要な側面である。ウィリアムズ症候群患者は超社交性があり共感に優れていると報告されているが、彼らの感情処理能力を調べた研究はほとんどない。
目的:本研究はウィリアムズ症候群患者の感情に関する知識を調べ、さらに感情に関連した他者の心理を理解する能力を解明することを目的としている。
手法と手順:特定の感情に焦点を当てた筋書を持つ物語を用いて基本6感情(喜び・悲しみ・怒り・恐怖・嫌悪・驚き)を検査した。ウィリアムズ症候群の被験者(n=16、男性8/女性8、暦年齢=8.46、精神年齢=5.27)は個々の物語を聞き、顔文字が描かれたカードを1枚指さす。各目的感情の正解割合と、他の感情への置き換わりを分析した。比較対照群は、精神年齢(n=16、男性8/女性8、精神年齢=5.26)を一致させたグループ、暦年齢(n=16、男性8/女性8、暦年齢=8.31)を一致させたグループ、6年生(n=20、男性10/女性10、暦年齢=12.04)、大学生(n=20、男性10/女性10、暦年齢=20.03)で構成される。被験者全員が中国語を母語とし、右利きである。
成績と結果:ウィリアムズ症候群患者のグループは感情処理に関して、精神年齢を一致させたグループより遅れている一方、暦年齢を位置させたグループとは異なっていた。6年生のグループは大学生のグループとは異なるパターンを示しており、このことは感情処理の成長には時間がかかることを意味している。
結論と含意:この発見は、(1)ウィリアムズ症候群患者と定型発達した対照群との間で感情知識の成熟にギャップがあること、(2)ウィリアムズ症候群患者は、暦年齢にはそぐわないが、感情に関連した他者の心理を理解する能力があり、(3)子どもから大人になるまでの感情処理発達に差異がある、ことを示唆している。
(2022年9月)
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