ウィリアムズ症候群、自閉スペクトラム症、知的障害の患者が使う感情制御方略に関する探索的研究
An exploratory study on emotion regulation strategy use in individuals with Williams syndrome, autism spectrum disorder and intellectual disability.
Samson AC(1)(2), Sokhn N(2)(3)(4), Van Herwegen J(5), Dukes D(1)(6).
Author information:
(1)Institute of Special Education, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland.
(2)Faculty of Psychology, UniDistance Suisse, Brig, Switzerland.
(3)Department of Psychology, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland.
(4)Eye and Brain Mapping Laboratory (iBMLab), Department of Psychology, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland.
(5)Department of Psychology and Human Development, UCL Institute of Education, London, United Kingdom.
(6)Swiss Center for Affective Sciences, University of Geneva, Geneva, Switzerland.
Front Psychiatry. 2022 Nov 23;13:940872. doi: 10.3389/fpsyt.2022.940872. eCollection 2022.
背景:神経発達疾患の患者はしばしば非定型的な感情プロフィールを有しているが、彼らがどのように感情を制御しているかはほとんど明らかになっていない。一方で、自閉スペクトラム症患者が使う感情制御方略を調べた研究は数本存在し、その中のごく少数で、知的障害患者を含んだり、ウィリアムズ症候群のような特定の症候群に焦点を当てた研究もある。
手法:新型コロナウイルス感染症の感染爆発が始まった最初の数か月間に得られた両親の報告による調査結果を使って、以下の患者の感情制御方略や不安症との関連を調べる探索的研究を行った。対象は、自閉スペクトラム症で知的障害有り(N=785)と無し(N=596)、ウィリアムズ症候群(N=261)、病因不明の知的障害(N=649)である。
結果:マルチレベル分析を用いた結果、感情制御方略の使用が特定のグループ毎に異なっていることが明らかになるとともに、方略のばらつき(例:反芻、情報の忌避、反復行動)が不安の上昇レベルと関連していることが判明し、一方でポジティブに注目することが不安のレベルが低いことと関連していることも全てのグループで分かった。さらに知的障害が無い自閉的傾向を持つ人々だけが、低レベルの不安を経験していながらも、ユーモアをより多く使っていた。
結論:本研究は異なる神経発達疾患で使われる感情制御方略という未解明の分野に光を当てるものである。また、異なる神経発達疾患で使われる感情制御をよりよく理解するためにさらに精密な方法で感情制御を深く調査研究するための筋道を構築するとともに、不安のような外部に現れる症状の計測方法にも影響を与えた。この探索的研究は、神経発達疾患の患者が用いる感情制御方略の幅広い組合せ研究する際に用いる適切な手法を開発し検証するための手助けになる可能性がある。
(2022年12月)
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